日本外科系連合学会誌
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転移再発乳癌の長期生存に関わる因子の検討
楠本 祥子渡辺 明彦仲川 昌之石川 博文阪口 晃行山田 高嗣大槻 憲一横谷 倫世本郷 三郎
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2003 年 28 巻 4 号 p. 682-685

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抄録
転移再発乳癌の長期生存に関わる因子について検討した。1983年から2000年までの18年間に当科で根治手術を施行した乳癌428例のうち, 転移再発は80例, 18.7%に認めた。再発の転帰は, 再発後経過3年を境に分けられ, 再発後3年以上生存の14例 (A群) と3年未満死亡37例 (B群) の2群について比較検討した。年齢, 閉経後率, ホルモンレセプター, 臨床病期, 腫瘍径, 転移リンパ節個数, 組織型, 再発部位, 再発後治療法に有意差は認めなかったが, 健存期間に有意差が認められ, エストロゲンレセプター陽性率がA群に高い傾向にあった。遠隔リンパ節, 脳, 皮膚, 肝臓が初再発の例は, 予後不良であった。健存期間が長く, ホルモンレセプター陽性, 骨, 肺が初再発の例は, 内分泌療法を第一に選択し, 健存期間が短く, ホルモンレセプター陰性, 脳, 肝臓, 遠隔リンパ節, 皮膚が初再発の例では, 内分泌化学療法を中心とした集学的治療が必要と思われた。
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