日本外科系連合学会誌
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超音波ガイド下穿刺吸引細胞診が有用であった乳頭異常分泌非浸潤癌の1例
直居 靖人山本 仁黒川 英司
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2003 年 28 巻 5 号 p. 870-873

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抄録
患者は 67 歳, 女性。右乳頭の単孔性血性異常分泌を主訴に当院受診。腫瘤触診せず。マンモグラフィ, 分泌物細胞診, 分泌物CEA値で悪性所見を認めなかったが, 乳房超音波検査で乳管の拡張と, 乳管造影にて乳管の拡張と途絶の所見を認め, 乳腺区域切除術を予定した。手術直前に再度行った乳管造影は乳管の閉塞により施行不能であり, 再開通や超音波検査による病変描出の可能性を考え手術を中止し, 経過観察とした。4ヵ月後の超音波検査にて5mm大の円形の低エコー病変を認め穿刺細胞診にてclass Vの結果を得た。再度乳管造影を施行するも造影不能であり, 細胞診陽性部を中心に乳腺部分切除術を施行した。切除標本では細胞診陽性部を中心に乳管内進展を示す非浸潤性乳癌であった。乳頭異常分泌の確定診断には色素注入乳腺区域切除術が行われることが多いが, 今回注入不能症例において, 超音波ガイド下穿刺吸引細胞診が主病変の局在, 確定診断に有用であったので報告する。
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