日本外科系連合学会誌
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盲腸後窩ヘルニアの1例
鈴木 幸正中川 国利
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2003 年 28 巻 5 号 p. 916-919

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抄録
盲腸後窩ヘルニアの1例を経験したので報告する。症例は68歳の男性で, 6年前に腹腔鏡下総胆管切石術を受けた。現病歴は夕食後に右下腹部痛が急に生じたため, 翌日に入院した。入院時, 腹部は全体に膨隆していた。腹部単純X線写真では鏡面像を伴う小腸ガス像を, CT検査では盲腸の背側に拡張した小腸を認めた。以上からイレウスと術前診断し, 緊急手術を施行した。開腹すると盲腸外側に径3cm大のヘルニア門が存在し, 盲腸後窩に回腸が10cmほど嵌入していた。ヘルニア門を形成する後腹膜に切開を加え, 整復した。腸管壊死を認めたため回腸を切除した。なおヘルニア門の切開により, ヘルニア嚢は消失した。盲腸後窩ヘルニアの術前診断は困難とされているが, CT検査は本症の診断に大変有用であると思われた。
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