日本外科系連合学会誌
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悪性腫瘍症例に対する経皮内視鏡的胃瘻造設術の経験
今津 浩喜落合 正宏桜井 洋一中村 康子庄司 光孝永井 吉造服部 秀明
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2003 年 28 巻 6 号 p. 1005-1007

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抄録
悪性腫瘍症例に対して経皮内視鏡的胃瘻造設術 (percutaneous endoscopic gastrostomy : PEG) を行った症例を対象とし, 有用性と問題点につき検討した。PEG 166施行例中悪性腫瘍患者に施行した15例を対象とした。食欲不振の4例は全例中心静脈栄養から離脱し, 内2例でPEG造設後より食欲改善PEG抜去可能となった。通過障害例は5例で嘔吐を主訴としたが, PEGからの減圧により全例嘔吐消失, 経鼻胃管抜去可能で, 内1例はPEJを追加することにより経管栄養に移行, TS-1での化学療法も行い得た。嚥下障害例は6例で, うち5例で中心静脈栄養から離脱した。これらのうちTS-1の治療にて合併した皮膚筋炎が寛解し嚥下障害が改善した症例と, 放射線治療にて通過障害が改善された2例では経口摂取可能となりPEG抜去しえた。短期合併症は瘻孔周囲炎が2例に認められた以外特になく, 長期予後は14例 (93%) が死亡, 内12例 (86%) が現病死 (腫瘍死), 2例 (14%) が肺炎, 心不全であった。施行後死亡までの平均日数は110日 (5日~315日) でPEG関連死はなかった
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