日本外科系連合学会誌
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腸回転異常症を伴ったクローン病に対する腹腔鏡補助下手術の1例
水島 恒和井上 善文伊藤 壽記打越 史洋松田 暉
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2003 年 28 巻 6 号 p. 1024-1028

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抄録

症例は33歳, 男性。平成元年クローン病と診断され, Mesalazineの内服とElemental Dietによる栄養療法を行いフォローアップされていた。平成13年腹部膨満が出現し, 大腸内視鏡検査で狭窄病変を指摘された。消化管造影検査では回腸終末部, 結腸近位部の2カ所に狭窄病変を認めた。また小腸は腹部右側に偏位, 上行結腸は腹部正中を上行しており腸回転異常症と診断した。手術は腸回転異常症に対する処置が必要となる可能性も考慮し腹腔鏡補助下に行った。腹腔内を検索したところ, 明らかなLadd靱帯は認めず, 病変部はほとんど固定されていなかった。5cmの小開腹を行い, 病変部を腹腔外に引き出した。体外で全腸管を検索した後, 回盲部切除, 結腸部分切除を行った。腸回転異常症を伴ったクローン病症例の報告は本例で2例目であり, 自験例においては術前画像検査による正確な診断, 腹腔鏡によるアプローチが有用であった。

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