日本外科系連合学会誌
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乳癌組織におけるVEGF-Cおよびその受容体Flt-4の免疫組織学的発現とリンパ行性転移の検討
久保井 洋一天野 定雄根岸 七雄大井田 尚継
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2004 年 29 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

目的 : 乳癌における腫瘍先進部および間質を免疫組織学的に観察し, 腫瘍の産成するVEGF-Cおよびその受容体であるFlt-4とリンパ行性転移との関連を検討した。対象 : 当教室で手術した腫瘍径3cm以下の初発乳癌111例。方法 : ホルマリン固定パラフィン包埋切片を用いて腫瘍組織のVEGF-C, Flt-4の発現を免疫組織学的に検索した。組織染色の評価は光学顕微鏡下に行い, 200倍の視野で腫瘍内および腫瘍先進部を観察し, VEGF-Cでは染色細胞陽性率 (%), Flt-4ではいわゆるvascular spotにおける染色陽性リンパ管個数によって評価した。結果 : VEGF-Cの平均陽性率はn+群では67.2%, n-群では39.1% (p<0.0001), ly+群で59.0%, ly-群で23.9% (p<0.0001), Flt-4の染色陽性りンパ管個数はn+群では9.4±6.3個, n-群では5.1±6.5個 (p<0.0006), ly+群で7.9±6.5個, ly-群で3.4±6.3個 (p=0.0029), であり, それぞれの群の間で発現に, 有意差を認めた。結論 : 乳癌組織におけるVEGF-C, Flt-4の発現はリンパ行性転移の発現と密接な関連性があることが示唆された。

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