日本外科系連合学会誌
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上腸間膜動脈と門脈合併切除で判明し, 興味ある動脈浸潤所見を示した膵頭部癌の1例
辻 福正西山 範正
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2004 年 29 巻 2 号 p. 277-281

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抄録
上腸間膜動脈 (SMA) と門脈 (PV) を合併切除した膵頭部癌で, 興味ある動脈浸潤像を呈した1例を経験したので報告する。症例は58歳男性。腹部膨満感を自覚して来院。エコーで主膵管の拡張, 腹部CTでSMAとPVへの浸潤が疑われる膵頭部癌を認め, SMAとPVとの合併切除を伴う膵頭十二指腸切除術を施行した。術後経過は良好であったが, 術後5カ月目に, 再発死亡した。脈管は, PVを4cm切除し, 脾静脈と上腸間膜静脈の合流部を温存させた。口径差が約3倍となったが, PVと端々吻合した。SMAは3.5cm切除して, 端々吻合した。病理所見では, 癌細胞はSMAの外膜外にまで浸潤していたが, 術前の画像診断では脈管浸潤の有無は判定困難で, SMAの合併切除ではじめて判明した。今後, 前向きなSMA合併切除による予後の検討が必要と推定された。
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