2004 年 29 巻 4 号 p. 787-791
[症例] 68歳, 男性。肝外側区域の直径4.8×4.0cmのHCC。ICG 15 : 26%, 血小板6.0万。外傷により開腹下脾臓摘出術歴を認めた。[手技の要点] 術前, 術中超音波により腫瘍径ならびに腫瘍辺縁から2cmの距離における肝表面から血管, 胆管までの距離, 予定切離距離を正確に測定し, 予定切除肝の大きさに見合った皮切を既往の切開創上に置く。直視下, 鏡視下に癒着剥離を行う。操作は吊り上げ法により行い, 術中血遮断は行わない。肝切離は超音波測定結果を基にmicrowave凝固端子の針の長さを部位毎に選択し, 凝固した後, Auto Sonix Rで切離する。切除肝は開腹創から取り出す。切断面にはアルゴンビームコアギュレーターを使用する。[結語] 本術式は開腹歴を有する症例においてsargical marginの確保, port site implantationのリスクを抑える意義から有用と考えられた。