日本外科系連合学会誌
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29 巻, 4 号
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  • 伊東 和子, 小西 郁生
    2004 年 29 巻 4 号 p. 662-669
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 富樫 かおり
    2004 年 29 巻 4 号 p. 670-678
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 吉川 裕之
    2004 年 29 巻 4 号 p. 679-684
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    上皮性卵巣がん (卵巣癌) の初回治療における手術療法について解説する。胚細胞腫瘍の手術では, 腫瘍減量手術の意義や妊孕性温存手術の対象も上皮性卵巣がんとは異なるので注意して頂きたい。また, 再発時の手術療法であるsecondary cytoreductive surgeryも重要であるが, 本稿では解説しない。卵巣癌手術と治療過程との関係をFig.1に示す。
  • 落合 和徳
    2004 年 29 巻 4 号 p. 685-689
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 高浪 巌, 儀賀 理暁, 井上 芳正
    2004 年 29 巻 4 号 p. 690-693
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    われわれは降下性壊死性縦隔炎に対して頸胸部CTによる早期の診断と, 早急な外科的ドレナージを施行してきたがその結果につき検討した。1990年から2003年までわれわれの施設における降下性壊死性縦隔炎13例に対して外科的ドレナージでの治療を経験した。胸部レントゲン上, 縦隔の拡大が認められた症例は13例中7例であったが, 頸胸部CTでは全例において縦隔に液の貯留あるいはガスの存在などの炎症像が認められた。深頸部炎症に対してのドレナージならびに降下性壊死性縦隔炎の早期の診断後に縦隔の外科的ドレナージが早急に行われた。術後経過は13例中12例が生存し, 1例が敗血症で死亡した (死亡率8%) 。頸胸部CTによる降下性壊死性縦隔炎の早期の診断と, 早急で適切な外科的ドレナージが降下性壊死性縦隔炎の予後を良好にさせうる要因と考える。
  • 楳田 祐三, 田中屋 宏爾, 竹内 仁司
    2004 年 29 巻 4 号 p. 694-698
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    1978年より2001年までに経験した大腸癌手術症例のうち低分化腺癌21例の臨床病理学的特徴について, 分化型腺癌715例と比較検討した。低分化腺癌の占居部位は右側大腸が34%であった。病期は, I・II期4例, III・IV期17例, 壁深達度はse以深が8例, リンパ節転移陽性例の割合は73%であった。腹膜播種, 肝転移をそれぞれ3例に認めた。分化型腺癌との比較では, 病期III・IV期の進行症例が有意に多かった。病期規定因子では, リンパ節転移が高度で, 2群以上のリンパ節転移を60%に認めた (p<0.01) 。肝転移, 腹膜播種に関しては差がなかった。累積生存率は, 病期III・IV期が低分化腺癌で予後不良であったが, 治癒切除例に関しては有意差を認めなかった。予後不良とされる低分化腺癌であっても, 治癒切除が行えた場合には予後が期待でき, リンパ節郭清を重視した拡大手術が治療予後に寄与する可能性が示唆された。
  • 所 忠男, 奥野 清隆, 肥田 仁一, 井上 潔彦, 吉藤 竹仁, 塩崎 均, 安富 正幸
    2004 年 29 巻 4 号 p. 699-703
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    当科では1998年3月以降, 緊急手術を要する左側大腸癌イレウスに対して経肛門的イレウス管による術前管理を第1選択として治療してきた。今回, 2002年3月までに経験した13例を対象に, 一期再建で経過良好であった5例をA群, イレウス管留置による合併症を認めた症例およびイレウス管で減圧できたが一期再建で縫合不全をきたした症例の計8例をB群に分類し, 腫瘍による狭窄長, 拡張した口側の最大腸管径, イレウス管留置前のイレウス期間について比較した。いずれの項目についてもA群, B群間に有意差は認められなかったが, B群はA群に比し腸管径が大きく, イレウス期間が長かった。文献的にイレウス管を留置できなかった症例やイレウス管による穿孔・穿通例の頻度は少なくなく, 今回の検討からは口側腸管の拡張が高度な症例 (径7cm以上), イレウス期間が長い症例 (7日以上) ではリスクが高いと考えられた。
  • Koichi SATO, Takeo MAEKAWA, Hiroshi MAEKAWA
    2004 年 29 巻 4 号 p. 704-711
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    The relationships between liver dysfunction and serum endotoxin and cytokine levels in patients with perforated large intestine was investigated. Methods : Eighteen patients with perforation of the large intestine were divided into two groups by the patient's liver function ; eg ; a liver dysfunction group (8 patients) and a non-dysfunction group (10 patients). The relationships of blood endotoxin and IL-6 levels to the onset of liver dysfunction and prognosis was investigated. Effect of the endotoxin-adsorbing therapy (polymyxin direct hemoperfusion ; PMX-DHP) was also examined. Results : Many of those in the liver dysfunction groups demonstrated leukocytopenia and systemic inflammatory response syndrome (SIRS) preoperatively, and the postoperative complications were severer in comparison with those in the nondysfunction group. The endotoxin level and interleukin-6 (IL-6) level were also higher in many of those in the liver dysfunction group. Especially, in those with high levels of both endotoxin and IL-6, hyperbilirubinemia occurred in all cases and their prognosis were poor. PMX-DHP did not improve liver dysfunction even though it decreased the blood level of endotoxin and IL-6. Conclusion : The results suggested that the increase in blood endotoxin and IL-6 levels is strongly involved in the occurrence of liver dysfunction after treatment of a perforation of the large intestine. Furthermore, PMX-DHP did not improve liver dysfunction even though it decreased the blood levels of endotoxin and IL-6.
  • 角田 明良, 林 征洋, 草野 満夫
    2004 年 29 巻 4 号 p. 712-716
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    初回手術時に癌告知されず, 術後 (中央値 : 3年9カ月) 無再発で経過している患者15人に癌告知を行い, 告知後1ヵ月の精神状態をHADS尺度で調査した。また手術時告知例の10人を対照として同様の調査を行った。HADS (hospital anxiety and depression scale) anxiety値は未告知患者への告知例では5 (0-15) (中央値 (範囲), 以下略す), 対照例では3.5 (0-7) であった。同様にHADSdepression値は各々6 (1-14), 4.5 (0-9) で, HADStotal値は各々10 (2-27), 9 (0-16) であった。Major depressive disorderのcut-offpoint以上になった人は, HADS anxiety, HADS depression, HADS totalで各々4人 (27%), 2人 (13%), 2人 (13%) いたが, 2カ月後の再調査では改善した。未告知患者への癌告知は可能であるが, 告知後の精神的支援が必要と思われる。
  • 黒川 正人, 服部 亮, 野田 和男, 羽森 由佳
    2004 年 29 巻 4 号 p. 717-720
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は39歳, 女性。28歳時に右乳癌にて胸筋合併乳房切除術および右腋窩リンパ節郭清術を受けた。30歳時に左側にも乳癌が発生して胸筋温存乳房切除術を受けた。両側の乳房再建を希望したために, 両側の遊離横軸腹直筋皮弁 (TRAM) を用いて再建を行った。両側ともに胸背動静脈を恵皮部の血管として用いて遊離TRAMの深下腹壁動静脈と吻合した。また, 乳頭はdouble-opposing-tab flapを用いて再建し, 支持に耳介軟骨を埋入した。乳輪には左鼠径部内側から採取した皮膚を全層植皮した。本術式は乳房に充分な組織を移植でき, 下垂した形態の良い乳房の作成が可能であり, 両側乳房再建には有効と考える。
  • 竹中 芳治, 石山 純司, 酒井 滋, 山川 達郎
    2004 年 29 巻 4 号 p. 721-725
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    当科において胆石が成因と思われる特発性内胆汁瘻症例7例について検討した。内胆汁瘻の形態は, 胆嚢結腸瘻4例, 胆嚢十二指腸瘻3例であった。瘻孔の確診は, 腹部超音波+イレウス管造影1例, ERCP3例, PTCDあるいはPTGBD造影2例, 術中所見1例で胆道系の直接造影によるものが多かった。術式は開腹胆摘5例, 腹腔鏡下胆摘操作後小開腹2例で, 腹腔鏡下手術予定で開始した3例中1例では胆摘操作中に開腹に移行した。高度の急性胆嚢炎にてPTGBDを施行し保存的治療後の手術で術中所見, PTGBD造影共に瘻孔の開存が確認されなくなっていた例もあった。保存的治療後の待機手術も有効といわれており, 内胆汁瘻を合併した胆石胆嚢炎症例にも症例によっては腹腔鏡下手術が可能な例もありうると思われた。
  • 北島 政幸, 神山 博彦, 岡田 豪, 野口 肇, 落合 匠, 西村 和彦, 杉谷 通治, 岡野 匡雄
    2004 年 29 巻 4 号 p. 726-730
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は74歳, 女性。右腋窩部腫瘤を主訴に来院。腫瘤は弾性硬で径約5cm, 可動性は比較的保たれていた。腋窩腫瘤の超音波所見は内部やや不均一なlow echoic massとして描出され腫大したリンパ節と考えられた。乳癌の腋窩リンパ節転移を疑ったが両側乳房に明らかな腫瘤を触知せず, 画像診断上でも腫瘤像や有意な異常所見を認めなかった。穿刺吸引細胞診の結果はClassVで転移性腺癌が疑われた。全身検索を行い原発巣の発見に努めるも確定診断を得ることができず, 潜在性乳癌の右腋窩リンパ節転移を疑った。腫瘍が大きいためneoadjuvantとしてdocetaxel hydrateを投与したところ腫瘍の縮小が認められ, 胸筋温存乳房切除術を施行した。病理では右腋窩リンパ節内に腺癌成分を認めリンパ節への転移性腺癌の診断であった。癌組織においてはHER2タンパク1+, ER (+), PgR (-) であった。
  • 直居 靖人, 山本 仁, 黒川 英司
    2004 年 29 巻 4 号 p. 731-734
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    乳癌術後22年目に腋窩, 鎖骨上リンパ節に転移した症例を経験したので報告する。症例は54歳, 女性。1978年, 右乳癌で他院にて単純乳房切除術を受けた。浸潤癌であった以外詳細は不明。2000年3月右腋窩, 鎖骨上腫瘤に気づき当院受診。穿刺細胞診で両病変とも異形上皮細胞を認めた。対側乳腺および他臓器に原発巣を認めず, 同側乳癌の既往より乳癌の晩期再発と診断。他臓器転移なく局所コントロール, 腫瘍の性状検索のために同年4月右腋窩, 頸部リンパ節郭清術施行した。腋窩, 頸部とも多数の転移を認め, ER, PgR陰性, HER2陰性であった。術後化学療法施行するも7カ月後に同側頸部に再々発した。化学療法後, 局所疹痛コントロール目的で再度右頸部リンパ節郭清術を施行し, 術後放射線治療を行ったが肺転移, 骨転移をきたし2003年2月に死亡された。本症例は再発まで22年目を要し, それに比し再発後の予後は3年と短くその経過にはtumor dormancyが関係しているものと推測された。
  • 緒方 秀昭, 奥山 伸男, 村国 均, 柴 忠明, 浜谷 茂治
    2004 年 29 巻 4 号 p. 735-739
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    乳腺管状癌を経験したので報告する。症例は45歳女性で, 右乳房腫瘤を主訴に外来受診した。触診にて右乳房A領域に表面平滑で弾性硬な腫瘤を認めた。腫瘤は, マンモグラフィー検査でspiculaを伴った円形で高濃度な陰影を呈した。超音波所見は, 径10×9mm, 辺縁不整で境界やや不明瞭であった。また内部エコーはやや不均一で, 後方エコーに変化を認めなかった。針生検で2層性の欠如した腺管が間質に分け入る進展様式を確認し, 管状癌と診断した。手術は円状部分切除および腋窩リンパ節郭清を行った。術後病理診断は, 他の組織を混じないpure typeの管状癌で, 脈管侵襲, リンパ節転移は認めなかった。乳腺管状癌は稀な腫瘍であり, その診断は画像上の特徴的な所見に乏しいこと, 個々の腫瘍細胞が小型で細胞異型が軽度なことから難しいとされるが, 針生検は管状癌の術前診断に有効であった。
  • 長尾 成敏, 加藤 浩樹, 長田 真二, 鷹尾 博司, 佐治 重豊
    2004 年 29 巻 4 号 p. 740-744
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は59歳, 男性。噴門部癌の診断のもとに, 左開胸開腹連続切開で下部食道切除・胃全摘術を施行し, ρ&Roux-en Y法で再建 (胸腔内吻合) した。術後経過良好であったが18日目に多量吐血をきたし, ショック状態となった。緊急造影CTにて食道空腸吻合部のステープラーに一致して仮性胸部大動脈瘤を認め, 動脈造影検査にて大動脈と食道・空腸との間に交通が確認された。大動脈ステントの留置で消化管への出血は軽快したが, 術後32日目に再度大量出血をきたし死亡した。胃食道切除後合併症として, 極めて稀に胃食道大動脈瘻が発症する可能性が知られている。本症は一度発生すると致命的となり3日以内に死亡する例が多いため, この合併症の存在を認識した上で, 迅速な外科治療が必要と考え報告した。
  • 山田 高嗣, 渡辺 明彦, 井上 毅, 下村 俊行, 吉岡 哲也, 和田 敬, 山本 克彦, 石川 博文, 大山 孝雄, 大槻 憲一, 新見 ...
    2004 年 29 巻 4 号 p. 745-750
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は62歳女性。下血を主訴に来院。精査にて直腸癌と診断。開腹手術を施行したが, 手術開始から15分後突然, 血圧低下と低酸素血症が起こり改善しないため肺塞栓症を疑い, 手術を中止した。造影CT検査で右肺動脈に血栓が疑われたためヘパリンの投与による抗凝固療法を施行したところ, 血圧低下と低酸素血症は改善した。その後の肺動脈造影検査では, 肺動脈および下大静脈に明らかな血栓は認めず, 肺血流シンチグラムでも血流欠損部位を認めなかったが, 両下肢の造影CT検査で, 左大腿静脈に血栓を認めた。再発予防的治療として下大静脈フィルターを挿入ののち再手術に臨み, なんら合併症なく手術を施行できた。深部静脈血栓の存在が認められ肺塞栓を起こす可能性のある症例では, 下大静脈フィルターを挿入することは有効な手段と考えられた。
  • 藤井 秀則, 大久保 雄一郎, 馬場園 豊, 川上 義行, 青竹 利治, 田中 文恵, 広瀬 由紀, 山本 広幸, 松下 利雄
    2004 年 29 巻 4 号 p. 751-755
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は45歳男性, 腹部超音波検査で約3cmの腹部腫瘤を指摘された。胃透視の圧迫像で前庭部大彎に腫瘍の存在を認めたが, 胃内視鏡検査では異常を認めなかった。CTでは胃前庭部より下垂するhypo vascularな腫瘍として認められた。胃GISTの疑いで腹腔鏡補助下に胃部分切除を施行した。腫瘍は3×2cm大の赤色の腫瘍で出血や壊死を認めず, 固有筋層から壁外性に増殖する粘膜下腫瘍であった。類円形細胞と紡錘形細胞が類上皮様, シート状に増殖し, 核分裂像は0個/10高倍率視野であった。c-kit陽性, CD34がびまん性陽性で, extramural GIST, low grade malignant potentialと診断された。GISTの概念が普及した現在, スクリーニング目的の超音波検査を行う際にも, 内視鏡検査で所見を認めないGISTの存在を念頭におく必要がある。そして手術適応のある無症状のGISTを発見し低侵襲の腹腔鏡手術を選択することに意義があると考えられた。
  • 坪井 一人, 柏木 秀幸, 矢野 文章, 小村 伸朗, 矢永 勝彦
    2004 年 29 巻 4 号 p. 756-759
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は20歳, 男性。13歳時に十二指腸潰瘍を指摘され, 18歳時には潰瘍出血による貧血にて輸血歴がある。プロトンポンプ阻害薬の投与を行うも抵抗性であり手術目的に当院に入院となった。腹部超音波検査, 腹部CT検査にて胆嚢内ガス像を認め, 胆嚢十二指腸瘻と診断した。以上より, 腹腔鏡下選択的近位迷走神経切離術および胆嚢摘出術を施行した。術後経過は良好にて第12病日に退院となった。現在, 外来経過観察中であるが, 再発を認めていない。これまで, 胆嚢消化管瘻に対する鏡視下手術は禁忌とされてきたが, 近年になりその報告例が散見されるようになってきた。本症例は十二指腸潰瘍を原因とした稀な胆嚢十二指腸瘻症例であり, 腹腔鏡下に手術可能であったため報告した。
  • 鈴木 修司, 原田 信比古, 鈴木 衛
    2004 年 29 巻 4 号 p. 760-764
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    75歳, 女性。下血を主訴に当院紹介入院となった。入院時生化学検査では若干の貧血のみで他に異常所見は認めなかった。注腸検査, 大腸内視鏡検査では回腸末端に浅い陥凹を伴う小隆起病変を認めた。CT検査ではリンパ節腫大は認めなかった。生検にて悪性リンパ腫と診断し, 回盲部切除術を施行した。病理組織標本で腫瘍リンパ球は漿膜下層まで浸潤しており, 中型から大型の腫瘍リンパ球が充実性に増殖し, 濾胞形成はみられず, 悪性リンパ腫, diffuse large cell type, B cell type と診断された。術後経過良好で, CHOP療法を付加し, 現在再発なく経過している。下血を契機に術前診断可能で, 手術を施行しえた原発性回腸悪性リンパ腫の1例を経験したので若干の文献的考察を含め, 報告した。
  • 森 崇高, 小杉 道男, 篠島 利明, 木浦 宏真, 吉岡 邦彦, 坂本 啓彰, 橘 政昭, 青木 達哉
    2004 年 29 巻 4 号 p. 765-767
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    近年PSAの確立により限局性前立腺癌の発見が増加している。これにより手術症例数も増加している。いかなる手術法でも術中合併症が生じる可能性があるが, 特に恥骨後式前立腺摘除術における直腸損傷は人工肛門造設術が余儀なく選択される場合もあり注意を必要とする。本院の2001年1月から2002年12月までの2年間で60例の限局性前立腺癌症例に対して恥骨後式前立腺摘除術を施行したが, この内2例に直腸損傷が生じた。これらに対し, 1期的に直腸縫合を行い術後問題なく経過した。今回, 恥骨術式根治的前立腺全摘除術の術中合併症である直腸損傷とその対処法について若干の文献的考察を加え報告する。
  • 久原 浩太郎, 吉松 和彦, 石橋 敬一郎, 渡邉 清, 梅原 有弘, 横溝 肇, 塩澤 俊一, 土屋 玲, 小川 健治
    2004 年 29 巻 4 号 p. 768-772
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    大腸癌が原因となる肝膿瘍の報告は少ない。今回われわれは, 肝膿瘍の原因となった大腸癌で, 術後1年6カ月後肝転移と診断し, 肝切除を施行した1例を経験した。症例は59歳, 女性。右季肋部痛, 発熱を主訴に受診し, 肝右葉前区域に径9×6cmの肝膿瘍を認め入院。経皮経肝膿瘍ドレナージを施行, 内容液の細胞診では悪性所見はなく, 原因菌はKlebsiella pneumoniaeであった。肝膿瘍の原因検索で行った大腸内視鏡検査でS状結腸癌と診断, S状結腸切除術を施行した。術後1年6カ月後肝膿瘍部に肝転移を認め, 肝切除術を施行した。現在再々発は認めていない。稀ではあるが, 肝膿瘍の原因疾患の一つに大腸癌を考慮する必要がある。また, 悪性腫瘍が原因と考えられる肝膿瘍では肝転移を伴うことを念頭に, 術前, 術後検査を行うことが大切である。
  • 西尾 公利, 種村 廣巳, 大下 裕夫, 菅野 昭宏, 日下部 光彦, 波頭 経明, 西科 琢雄, 斉藤 史朗
    2004 年 29 巻 4 号 p. 773-776
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は74歳, 女性。1964年直腸癌にて腹会陰式直腸切断術を受け, 1985年よりC型慢性肝炎にて当院内科通院中であった。2000年1月肝腫瘍の治療目的で当院入院し, 人工肛門部の腫瘍を指摘された。理学的所見では人工肛門の尾側粘膜から発生したと思われる10×7.0×4.0cmの1型の不整形腫瘍を認めた。腫瘍は易出血性で生検にて高分化型腺癌と診断された。大腸内視鏡では人工肛門より口側の結腸には腫瘍性病変は認めなかった。人工肛門に発生した大腸癌と診断し, 腫瘍周囲の皮膚を含めて結腸部分切除を施行し横行結腸に人工肛門を作成した。病理組織学的所見は, 中分化型腺癌で腹壁への直接浸潤を認めたが切離断端に腫瘍を認めず結腸周囲リンパ節転移も認めなかった。人工肛門癌は稀であるが発見は容易と思われる。しかし本例のように患者が自発的に訴えず進行癌となって発見されることもあり人工肛門を含めた大腸の慎重な経過観察が必要と思われた。
  • 朝村 真一, 磯貝 典孝, 松永 和秀, 上石 弘
    2004 年 29 巻 4 号 p. 777-781
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は65歳, 男性。45歳時より痔瘻を認める。約2年前より肛門部近傍の瘻孔より粘液・膿の流出が続き, 痔瘻根治術を勧められるが放置。平成14年11月頃より, 肛門周囲の腫瘤が次第に増大, 疼痛も増強してきたため, 同部位の生検を行ったところ粘液癌と診断された。平成12年12月24日, 痔瘻癌の診断で紹介され, 手術目的にて当院外科に入院となった。手術は, 腹式会陰式直腸切断, 両側鼠径リンパ節郭清, 広範囲会陰皮膚切除, 人工肛門造設を行い, 痔瘻癌切除後の広範囲組織欠損に対して, 腹直筋皮弁を用いて再建した。今回利用した腹直筋皮弁は十分なボリュームが得られ, 体位変換を要しないで採取でき, 会陰部・殿部の再建に有用であると考えられた。
  • 吉田 直優, 名知 祥, 水谷 知央, 関野 考史, 阪本 研一, 山田 卓也, 竹村 博文, 加藤 恵三
    2004 年 29 巻 4 号 p. 782-786
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢頸部に嵌頓した胆嚢結石により, 肝門部胆管の狭窄をきたし, 肝門部胆管に癌の合併を認めた1例を経験したので報告する。症例は73歳, 女性。主訴は心窩部痛。入院時, T.Bilが12.5mg/dl, 腫瘍マーカーはCEAが6.0ng/ml, CA19-9が1,727U/mlであった。腹部US, CTで胆嚢頸部に嵌頓した大きさ3.0×2.0cmの結石を認め, 総肝管と肝門部胆管を圧排し, 肝内胆管が著明に拡張していた。左右肝内胆管へPTCDを施行し, 胆汁細胞診はclassIIであった。肝門部胆管狭窄を伴ったMirizzi症候群と診断し, 胆嚢癌あるいは肝門部胆管癌の併存の可能性を考えた。その後, 呼吸状態が急速に悪化し, 血液浄化法などの集学的治療を施行したが, 死亡した。病理解剖で胆嚢頸部に嵌頓した結石が肝門部胆管を圧排し, 組織学的に肝門部胆管から右肝内胆管に表層進展する中分化型管状腺癌を認めた。
  • 三松 謙司, 大井田 尚継, 川崎 篤史, 久保井 洋一, 加納 久雄, 金田 英秀, 天野 定雄
    2004 年 29 巻 4 号 p. 787-791
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    [症例] 68歳, 男性。肝外側区域の直径4.8×4.0cmのHCC。ICG 15 : 26%, 血小板6.0万。外傷により開腹下脾臓摘出術歴を認めた。[手技の要点] 術前, 術中超音波により腫瘍径ならびに腫瘍辺縁から2cmの距離における肝表面から血管, 胆管までの距離, 予定切離距離を正確に測定し, 予定切除肝の大きさに見合った皮切を既往の切開創上に置く。直視下, 鏡視下に癒着剥離を行う。操作は吊り上げ法により行い, 術中血遮断は行わない。肝切離は超音波測定結果を基にmicrowave凝固端子の針の長さを部位毎に選択し, 凝固した後, Auto Sonix Rで切離する。切除肝は開腹創から取り出す。切断面にはアルゴンビームコアギュレーターを使用する。[結語] 本術式は開腹歴を有する症例においてsargical marginの確保, port site implantationのリスクを抑える意義から有用と考えられた。
  • Hironori KANEKO, Akira TAMURA, Masaru TSUCHIYA, Takashi SUZUKI, Yoshih ...
    2004 年 29 巻 4 号 p. 792-796
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    A hepatocellular cancer patient who had undergone resections for subcutaneous metastasis and mesenterial metastasis one year and two respectively, after his extended right hepatectomy was reported. He has been well without recurrence 5 years after the first surgery. It has been suggested that the repeated surgical removal of a solitary metastasis with careful follow-up is a good clinical option for hepatocellular carcinoma when the primary site has been completely treated.
  • 佐藤 雅彦, 島田 長人, 鈴木 孝之, 久保田 伊哉, 高塚 純, 山田 英夫, 柴 忠明
    2004 年 29 巻 4 号 p. 797-800
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    症例は44歳, 女性。主訴は左鼠径部痛。乳児期に左鼠径ヘルニアを指摘されたが, その後自然消失した。1年前より左鼠径部が再び腫脹し, 疼痛も出現してきたため外来を受診した。左鼠径部に軽度の圧痛を伴う40×30mm大の腫瘤を触知し, 体位変換を行っても大きさは変化せず, 用手還納もできなかった。超音波検査では, 腫瘤は瓢箪型, 内部は無エコーであった。CT検査では, 腫瘤の辺縁に造影効果を認め, 内部は造影効果のない均一な低吸収域であった。また, MRI検査でも瓢箪型を示し, 内部がT1強調画像で低信号, T2強調画像で高信号を示していた。以上より子宮円索の走行と一致する漿液性内容を有する嚢胞性病変であり, Nuck管水腫と診断した。水腫を子宮円索と共に切除し, PLOLENE Hernia System Rを用い修復した。
  • 岩瀬 和裕, 山東 勤弥, 位藤 俊一, 三方 彰喜, 水島 恒和, 野中 健太郎, 井手 春樹, 今北 正美
    2004 年 29 巻 4 号 p. 801-805
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ (RA) に対するメトトレキサート (MTX) 治療中に発症した悪性リン腫により回腸多発穿孔を併発した1例を報告した。症例は87歳, 女性。近医にてMTX2mg/週を1年半, その後MTX4~6mg/週を1年間使用中のところ, 急性腹症にて紹介された。CT検査にて腹腔内遊離ガス像, 胸腹水, 肺炎像を認め, 緊急開腹手術を施行した。回腸に3カ所の穿孔を認め, 80cmの回腸を切除した。粘膜面には縦走する卵円形潰瘍を認め, 病理組織所見では悪性リンパ腫 (diffuse large, B cell) であった。2カ月後にリハビリ続行のため前医へ転院した。術後3カ月目のCT検査では腹腔内にリンパ節腫大は認められなかった。MTXに起因するリンパ増殖性疾患には消化管を主座とする病態も存在し, かかる症例では穿孔性腹膜炎など重篤な合併症を併発しえる可能性をも念頭に置く必要があると考えられた。
  • 新井 俊文, 鈴木 修司, 原田 信比古, 鈴木 衛
    2004 年 29 巻 4 号 p. 806-810
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    虫垂原発腹膜偽粘液腫に集学的治療を行い, 予後の改善につながったと考えられる1例を経験したので報告する。症例は73歳, 男性。腹部膨満を主訴に精査したところ, 腹腔内に粘調な腹水と盲腸下端にのう胞性病変認め虫垂原発腹膜偽粘液腫と診断し手術施行した。開腹すると腹腔内には多量のゼリー状粘液が存在し虫垂には嚢腫状腫瘤を認め穿孔していた。回盲部切除とあわせて腹腔内を5%ブドウ糖, デキストラン製剤にて洗浄後cisplatinを腹腔内投与し, 術後も留置ドレーンから7日間, 5%ブドウ糖とデキストラン製剤による洗浄を繰り返した。病理所見は虫垂粘液嚢胞腺癌であり虫垂間膜リンパ節転移を認めた。術後2年3カ月を経過し, 再発を認め, 化学療法を行っている。最も有効な治療法は, 原発巣および粘液塊を排除することであり, 切除に加えて今回施行した腹腔内洗浄および化学療法は粘液産生細胞の排除に効果的であり, 予後の改善に有効であったと考えられた。
  • A Case Report
    Tomonori OHSAWA, Hideyuki ISHIDA, Akio ODAKA, Daijo HASHIMOTO, Masashi ...
    2004 年 29 巻 4 号 p. 811-815
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
    We herein report an extremely unusual case of gastrointestinal stromal tumor (GIST) arising in a pelvic cavity. A 58-year-old man was admitted complaining of lower abdominal discomfort. Radiological examinations demonstrated a huge lobulated tumor occupying the lower abdominal and pelvic cavity, right hydronephrosis and extramural compression of rectum. Definite preoperative diagnosis was not obtained by transrectal biopsy. En-bloc resection of the tumor was performed by a total pelvic exenteration. Histological examination demonstrated that the tumor was composed of epithelioid cells with a low mitotic index. The tumor cells were immunohistochemically positive for CD-117 (c-kit) but negative for CD34, asmooth actin, HMB-45, HHF-35, and vimentin. The patient died of heart failure without any evidence of recurrence 15 months postoperatively. To our knowledge, this is the third reported case of GIST arising in the pelvic cavity in the literature throughout the world. The potential occurrence of GIST should be considered in the ifferential diagnosis of pelvic tumors.
  • 今井 裕
    2004 年 29 巻 4 号 p. 816-817
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
  • 藤井 秀樹
    2004 年 29 巻 4 号 p. 818-819
    発行日: 2004/08/30
    公開日: 2009/08/13
    ジャーナル フリー
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