日本外科系連合学会誌
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老年期に発症したMeckel憩室穿孔の1例
本邦報告119例の統計的観察
篠原 玄夫森 崇高三室 晶弘坂本 啓彰野牛 道晃冨岡 英則土田 明彦青木 達哉
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キーワード: Meckel憩室, 穿孔, 老年期
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2004 年 29 巻 6 号 p. 1002-1006

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抄録

患者は69歳, 女性。右下腹部痛を主訴に来院, 腹部単純X線写真にて小腸ガスを認め, 腸閉塞の診断で入院となった。入院時の血液生化学検査では強い炎症所見を認め, また腹部CT検査において圧痛部位に一致して層構造を示す4cm大の腫瘤とその尾側に5cm大に拡張した腸管を認めた。以上より腸重積, 腹腔内膿瘍, 絞扼性イレウス等を疑い, 緊急開腹手術を行った。開腹すると回盲弁より約60cm口側の回腸腸間膜付着部対側に8×5cm大のMeckel憩室を認め, 一部が穿孔して膿瘍を形成しこれを大網が被覆していた。手術は憩室の楔状切除を行った。病理組織学的検査では, 一部に穿孔を伴う急性潰瘍が認められ, 部分的に異所性の幽門腺が存在していた。Meckel憩室は一般に20歳以下で発見される例が多く, 穿孔は比較的稀である。今回われわれは老年期に穿孔で発症したMeckel憩室の1例を経験したので報告する。

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