日本外科系連合学会誌
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胃切除後の十二指腸断端縫合不全に対してフィブリン糊充填が著効した1例
須藤 日出男高木 融伊藤 一成片柳 創鴇田 博美須田 健向出 将人日比 康太土田 明彦青木 達哉
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2005 年 30 巻 2 号 p. 164-168

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抄録
胃癌術後, 十二指腸断端の縫合不全に対し, 経皮的にフィブリン糊を充填し短期間に瘻孔を閉鎖できた症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。症例は65歳, 男性。残胃癌, 肝転移の診断で, 残胃全摘, Roux-en Y再建, 肝外側区切除術施行。第5病日にWinslow孔ドレーンより胆汁様の浸出液を認め, 腹部CT検査で膵前面に膿瘍腔と思われる低吸収域を認めた。ドレーンの持続吸引および抗生剤を使用し, 徐々に炎症所見の改善を認めた。瘻孔造影にて十二指腸断端の縫合不全と診断し持続洗浄を開始した。細く長い瘻孔が形成されたが完全閉鎖には至らず, 第56病日に経皮的にフィブリン糊充填を行った。瘻孔の閉鎖を確認し第64病日退院となった。感染のない径の細い瘻孔の形成がフィブリン糊充填による瘻孔閉鎖を促し, 十二指腸縫合不全治癒につながったと考えられる。
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