日本外科系連合学会誌
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癌性腹膜炎による腸閉塞にオクトレオチドが奏効した1例
石田 秀之主島 洋一郎渡辺 康則中口 和則甲 利幸
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2005 年 30 巻 4 号 p. 652-655

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抄録
オクトレオチドは持続性のソマトスタチンアナログ製剤である。症例は74歳, 男性。原発部位不明の癌性腹膜炎で保存的に加療していた。嘔気・嘔吐・全身倦怠のため入院となった。腹部CT検査, 上部内視鏡検査で腸閉塞と診断した。胃管チューブを留置して, 絶飲・絶食とした。糖尿病のため輸液内にインシュリンを混注した。本人の希望で胃管チューブを抜去したところ, 嘔気が持続し, 1日に数回嘔吐するため, オクトレオチド300μg/dayの持続皮下注を始めた。嘔気は消失し, 嘔吐は激減した。胃管チューブを留置することなく, 後日飲水が可能となった。一方, オクトレオチド投与後意識障害, 尿失禁あり。血糖値は38であった。オクトレオチドは末期癌患者の消化管症状に有効であるが, インシュリン使用中の患者では低血糖を生じることがあるので十分な注意が必要である。
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