抄録
症例は16歳女性。15歳頃より神経性食思不振症を指摘され, 拒食と過食を繰り返していた。過食し, 通常は自ら嘔吐していたが, 来院前日過食後は嘔吐できず腹痛出現したため, 近医受診し加療目的に当科へ紹介受診となった。来院時, 腹部は著明な膨満を認め圧痛, 腹膜刺激症状を認めた。腹部単純レントゲン, 腹部CT検査では大量の残渣のため骨盤腔まで拡張した胃を認め, 少量の腹水も認めた。経鼻胃管を挿入するも内容の吸引が不十分であった。以上より急性胃拡張, 胃穿孔の疑いにて緊急手術を施行した。開腹所見としては残渣による著明な胃の拡張を認め, 広範囲に筋層の断裂を認めた。胃内容をドレナージし, 筋層の断裂は漿膜筋層縫合にて修復した。術後経過良好なため術後16日目に経口飲水開始し, 術後25日目より経口摂取開始した。その後も全身状態良好で術後32日目に退院となった。