日本外科系連合学会誌
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Fournier's gangrene発症を契機に診断し得た直腸癌の1例
榎本 俊行炭山 嘉伸長尾 二郎斉田 芳久渡邉 学浅井 浩司長尾 さやか
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キーワード: 壊死性筋膜炎, 直腸癌
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2006 年 31 巻 2 号 p. 231-234

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抄録
症例は35歳, 男性。肛門周囲の腫脹・疼痛を認め近医受診した。皮膚壊死, 自壊による膿汁排出があり, 加療目的に紹介受診となった。来院時, 肛門周囲の腫脹・疼痛, 会陰部に自壊創と膿汁の流出を認め, 睾丸背側皮膚は壊死に陥っていた。CT検査では肛門周囲より陰嚢にかけair densityを認めた。Fournier's gangreneの診断にてドレナージ術を施行した。術中, 直腸内を検索したところ, 直腸内に硬く触れる腫瘤を触知した。生検を行った結果, 腺癌と診断された。後日, 直腸癌に対するマイルス術を施行した。Fournier's gangreneに合併する直腸癌の報告例は自験例を含め, 9例であった。Fournier's gangreneは会陰部を中心とした壊死性筋膜炎であり, 本邦では比較的稀な疾患である。早期に診断を行い, 直ちに切開排膿およびデブリートマンを行うと同時に原疾患の治療を含めた適切な治療が肝要であると思われた。
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