抄録
症例は64歳, 男性。大腸閉塞を伴う直腸癌に対し2003年5月腹会陰式直腸切断術を施行, 広範なリンパ節転移, 局所進展を認めたことから術後UFT内服と5-FU持続静注を組み合わせたPMC (Pharmacokinetic Modulating Chemotherapy) および骨盤腔に放射線治療 (50.4Gy) を施行した。術後7カ月に多発性の肺転移を認め, PMCにleucovorin, CPT-11を付加した。術後1年1カ月後に肺転移は消失したが, 術後2年1カ月後に肺転移再発を認めた。レジメンの変更および肺転移に対しラジオ波焼灼術を施行し, 長期SDを維持している。高度進行直腸癌に対し手術, 化学療法, 放射線療法などを組み合わせる集学的治療は, 化学療法の進歩とあいまって, さらなる長期生存をもたらす治療コンセプトになりうると考えられた。