日本外科系連合学会誌
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総胆管切開術後の胆道造影を契機に発見された非露出腫瘤型乳頭部早期癌の1例
高台 真太郎上西 崇弘山本 隆嗣半羽 宏之津田 勇平久保 正二
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2006 年 31 巻 5 号 p. 894-897

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抄録
症例は69歳, 男性。胆嚢結石症および落下結石による胆管炎, 総胆管拡張を疑い, 総胆管切開術を施行した。総胆管内に軽度の胆泥を認め, 術中胆道造影像上, 造影剤の十二指腸への流出の遅延と, 乳頭部に径5mmの陰影欠損を認めた。術中胆道内視鏡検査では胆管粘膜は正常であった。術後内視鏡検査にて, 乳頭部の粘膜の糜爛形成を認め, 同部の生検にて高分化腺癌と診断され, 非露出型十二指腸乳頭部癌と診断し, 総胆管切開術2カ月後に膵頭十二指腸切除を施行した。根治術後6年間経過した現在, 再発なく健在中である。本症例のように非露出腫瘤型乳頭部癌であっても乳頭部の軽度の腫大や糜爛を呈することがあるため, 胆管拡張の原因が総胆管結石と考えられても, 明らかな結石像がみられない時には乳頭部癌を含めた乳頭部病変を念頭において, 内視鏡における乳頭部の観察, 生検を加えることが, 早期の乳頭部癌の発見につながるものと思われた。
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