2006 年 31 巻 6 号 p. 956-960
症例は80歳, 男性。大腸腺腫の経過観察のための大腸内視鏡検査で, 盲腸に径約5cmの隆起型腫瘤を認めた。生検でBurkittリンパ腫が強く疑われ, 手術目的で当科紹介。腸閉塞となる可能性があるため, 回盲部切除術 (D3) を施行した。病理組織学的検索ではstarry-sky像を伴うCD10, CD20陽性のリンパ球の増殖が固有筋層まで浸潤し, ほとんどの腫瘍細胞でKi-67染色陽性であった。リンパ節転移は認められず, Stage I (Naqvi分類) のBurkittリンパ腫と診断した。Stageと年齢を考慮し, 術後補助化学療法は施行しなかったが, 術後15カ月の現在, 再発の徴候はない。盲腸原発Burkittリンパ腫は予後不良で稀な疾患であり, 治療法のコンセンサスは得られていないものの, 通常は化学療法単独あるいは手術と化学療法の併用が選択されると考えられる。本症例は高齢かつ進行度が低い場合には, 手術単独でも良好な短期予後が得られることを示唆する貴重な症例と思われる。