2006 年 31 巻 6 号 p. 979-982
症例は40歳代, 男性。肝機能異常とUSで胆管拡張を指摘された。CTで肝S2/3に24×40mmの腫瘤を認め, ERCP下生検で肝内胆管細胞癌と診断した。肝左葉切除術を予定したがERCP後にgrade IVの急性膵炎を発症し仮性嚢胞を形成した。保存的治療で軽快し肝左葉切除術を施行した。第34病日に40℃の発熱とWBCおよびCRPの上昇を認め, CTで膵頭部の低吸収域内部にairを認め感染性膵壊死と診断した。抗生剤投与で軽快退院したが, 再度発熱し再入院した。膵膿瘍と診断して経胃膿瘍ドレナージを施行した。計3回のドレナージと抗生剤含有生理食塩水での洗浄で改善しないため開腹ドレナージとNecrosectomy (膵壊死組織切除) を要した。膵膿瘍と感染性膵壊死の鑑別は重要であり, 膵膿瘍と診断した場合経胃的ドレナージで軽快しなければ膵壊死組織切除術と開腹ドレナージが必要であると考えられた。