日本外科系連合学会誌
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胆嚢カルチノイドの1例
佐藤 元一田中 千凱梶間 敏彦若原 正幸棚橋 利行久野 壽也
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キーワード: カルチノイド腫瘍, 胆嚢
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2006 年 31 巻 6 号 p. 983-987

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抄録

今回, 胆嚢に原発したと思われる稀なカルチノイドの1例を経験したので報告する。症例は66歳, 男性。検診にて肝機能異常を指摘され来院した。腹部US, CT, MRI検査にて胆嚢頸部に約10mmの腫瘍を認め, コレステロールポリープあるいは腺腫を疑い腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。切除標本では腫瘍は胆嚢頸部に存在し, 12×7.5mmで, 有茎性で, 弾性硬の腫瘍を認めた。病理検査で類円形の核をもち核異形が低く, 分裂像もわずかな細胞を認め, Grimelius染色陽性, ChromograninA染色陽性, Masson-Fontana染色陰性であったことから, 胆嚢カルチノイドと診断した。Flow cytometryによる核DNA量の測定ではdiploid patternを示した。カルチノイドは消化管, 肺, 気管支などの臓器より発生することが多く, 胆嚢原発は稀である。治療は外科的切除が第1選択であるが予後不良例も存在することから, 今後十分な経過観察が必要と考えられた。

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