日本外科系連合学会誌
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12歳女児のsolid-pseudopapillary tumorの1例
膵機能温存を考慮した腫瘍核出術について
高橋 直人柳澤 暁柏木 秀幸矢永 勝彦
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キーワード: 膵腫瘍, 核出術
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2006 年 31 巻 6 号 p. 996-999

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抄録

12歳, 女児。平成13年10月腹部外傷後, 嘔気, 嘔吐が出現した。安静にて症状改善しないため, 近医受診した。腹部超音波検査, 腹部CT検査で膵腫瘍と診断され, 当科に紹介となった。超音波検査では低エコー帯に囲まれる境界明瞭, 内部に不規則な低エコー域が存在する腫瘍を疑わせる所見を認めた。単純CT検査では, 膵体部と密に接して, 境界明瞭な被膜を有する内部不均一なSOLが描出された。膵管造影では主膵管は下方に圧排され, 腫瘍との交通はなかった。超音波凝固切開装置を用いて, 可能な限り膵臓を温存し, 腫瘍核出術を施行した。腫瘍は病理学的にsolid-pseudopapillary tumorと診断された。術後膵液瘻から仮性膵嚢胞を生じドレナージを要したが軽快した。術後4年6ヵ月を経過したが再発兆候を認めない。

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