抄録
冠動脈疾患におけるインターベンション技術の進歩は目覚ましいが,とくに多枝疾患や気絶・冬眠心筋を伴った重症冠動脈疾患においては,血行再建術の適応の決定が容易でない場合がある.また,患者数が増加しつつある心不全においては,患者は入退院を繰り返すことが多く,医療経済の面からも,いっそうの心不全診断・治療の進歩が望まれる.さらに,新しい治療分野である再生医療は臨床応用の段階にいたっており,今後の展開に関心が高まっている.このような循環器疾患の病態の多様化と日進月歩の治療に呼応して,心臓核医学の果たすべき役割も大きく変化しつつある.ここでは,第63回日本循環器学会総会における心臓核医学のシンポジウムおよびこの学会に関連して開催された第11回日本心臓核医学会総会・学術大会でのトピックスを中心に紹介する.