2023 年 31 巻 1 号 p. 180-186
スポーツ選手の膝蓋骨疲労骨折にCannulated cancellous screw(CCS)を用いた手術治療の成績を評価した.症例は6 例6 膝,全例女性で手術時平均年齢17.2 歳,スポーツ活動中に受傷し4 例は不全骨折,2 例は完全骨折であった.手術は膝蓋骨遠位から小皮切で2 本のCCS を挿入,術後早期より荷重及び可動域訓練を開始し,全例骨癒合しスポーツ復帰した.不全骨折の1 例に疲労骨折の再発を認め,単純X 線側面像でCCS が膝蓋大腿関節面に近い位置を通っていた.膝蓋骨疲労骨折は,膝蓋骨遠位前方に大腿四頭筋の収縮力と膝蓋腱の伸張力が反復して作用することにより発症し,CCS は骨折部を固定し膝蓋骨前方の伸張力を軽減することができる.スポーツ選手の膝蓋骨疲労骨折にCCS を用いた骨接合術は比較的良好な成績が得られたため,積極的に適応として良いと考えた.しかし1 例でCCS が関節面に近い位置を通ることで,膝蓋骨前方への伸張力を軽減することができず再発した可能性があり,CCS の挿入位置には注意を要すると考えた.