日本臨床スポーツ医学会誌
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サッカー選手に対する膝半月板手術症例の特徴と競技復帰について
鈴木 伸芳大西 慎太郎中尾 吉孝松本 彰生山口 基
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2023 年 31 巻 1 号 p. 197-202

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抄録

半月板損傷はサッカー選手に多い外傷の1 つであり,しばしば外科的治療が行われる.今回,我々はサッカー選手の単独半月板損傷に対して手術加療を行った症例の術後成績について報告する.対象は,2013 年1 月から2018 年12 月の間に当院で関節鏡手術を行ったサッカー選手の中で,前十字靭帯損傷合併症例と外側円板状半月板症例を除いた膝半月板単独損傷32 例33 膝である.全例男性で年齢は平均19.1 歳(13~46 歳)であった.内側半月板損傷が10 膝,外側半月板損傷が23 膝で,内側半月板損傷は1 例の後節水平断裂を除いてすべて前節から中節のバケツ柄状断裂(縦断裂)であり,全例に縫合術を施行した.外側半月板損傷は,前中節の弁状断裂6 膝に対しては部分切除術を,残り17 膝には縫合術を実施した.術後競技復帰は半月板部分切除術例で平均4.3 ヶ月であったのに対して,縫合術を行った症例では6.2 ヶ月であった.再手術を要した症例はなかったが,活動性があがる術後3 ヶ月以降に関節水腫が出現する症例を4 例に認めた(12.1%).サッカー選手では他の競技に比べて内側,外側共に前中節の損傷が多いのが特徴であり,術後成績は比較的良好であった.

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