2023 年 31 巻 1 号 p. 203-211
本研究の目的は,大学女子サッカー選手を対象に,サッカーの競技特性を考慮した5 項目のフィットネステストと月経周期の関連を検討することである.23 名の大学女子サッカー選手が本研究に参加した.月経周期は,月経期,卵胞期,黄体期に分けられ,フィットネステストとして,垂直跳び,立ち幅跳び,30m スプリント,プロアジリティテスト,Yo-Yo テストを実施した.月経周期の3 つのフェーズ全てにおいてフィットネステストの測定を実施できた7 名(20.5±1.0 歳)を対象に解析を行った.その結果,月経周期間で,フィットネステストの結果に有意差は認められなかった.しかしながら,30m スプリント(0―10m)と月経期の血清エストラジオール値(r = 0.95)の間には強い正の相関が認められ,30m スプリント(0―30m)と月経期の血清エストラジオール値(r=-0.91),黄体期の血清プロゲステロン値(r=-0.87)の間には強い負の相関が認められた.本研究により,大学女子サッカー選手における競技に関連する体力要素の一部は,月経周期とそれに伴う女性ホルモン濃度の変動の影響を受ける可能性があることが示唆された.