2023 年 31 巻 1 号 p. 217-222
近年,ウサギ跳びの有害性の認知に伴い,腓骨近位部疲労骨折の報告は少ない.今回我々は,ウサギ跳びにより発症した両側腓骨近位部疲労骨折の1 例を経験したので報告する.15 歳男性(高校1 年).剣道部.中学校総合体育大会終了後9 ヵ月間と,高校入学後の新型コロナウイルス感染症蔓延による2 ヵ月間の部活動休止のため,約11 ヵ月間部活動を休止していた.受診2 週間前に部活動が再開し,毎日ウサギ跳びを行っていた.受診1 週間前から両下腿後面痛があり受診した.両下腿単純X 線像で両側腓骨近位部疲労骨折と診断した.運動休止,両短下肢シーネ固定,疼痛範囲内での荷重とした.2 週で圧痛が概ね消失し,単純X 線像で両側仮骨形成があり外固定を除去した.4 週でランニング開始,8 週で競技復帰した.ウサギ跳びは今なお一部で行われており下腿痛の鑑別診断として本骨折を念頭に置くとともに,長期間の運動休止後の疲労骨折について啓発する必要がある.