2023 年 31 巻 1 号 p. 212-216
本症例は大学生自転車競技選手に生じた脳振盪例であり,自転車競技および対象となる選手のトレーニング環境を考慮した段階的競技復帰(Graduated Return To Playing;GRTP)を調整し,競技への復帰支援を行った.それにより急な運動負荷を避け,症状と回復の程度に応じた段階的復帰が可能となったものと考えられる.また,本症例の経験を踏まえ,大学生自転車競技に適したGRTP の修正点として,GRTP の第2 段階において競技を実施せずに症状の無い日常生活活動を送る期間を1 週間以上設けること,そして修学に関する段階的基準を設ける必要性が考えられた.