2023 年 31 巻 1 号 p. 48-55
COVID-19 による活動自粛再開直後にスポーツ傷害を受傷した小学4 年生から高校生において,自粛中および再開直後の活動量や体重変化を調査した.また再開直後に発生した傷害を前年と比較し,その特徴を検討することを目的とした.2020 年6 月1 日から7 月31 日に受診した小学4 年生から高校3 年生109 名(男性72 名,女性37 名)を対象とした.自粛中の運動量は「たまに軽い運動」,「休校前の半分」が大部分を占めた.再開後の運動強度は小中学生で「休校前と同じ」,高校生で「ほぼ休校前と同じ」が最多であった.自粛中に体重は「変化なし」がほぼ半数だったが,「少し増えた」との回答も約3 割あった.小学生,中学生,高校生に分けて,2019 年と2020 年に受診した選手を比較したところ,2020年に受診した小学生の競技年数は有意に長かった.受傷部位は2019 年,2020 年ともに小中学生では膝と足・足関節が大半を占めた.高校生は2019 年は腰と足・足関節が多かったが,2020 年では膝が最多だった.受傷機転に関して中学生は,2020 年に接触受傷が有意に減少した.高校生の将来の目標は2019 年と2020 年で有意差を認め,趣味程度が2020 年は8 名(34.8%)に増え,指導者を目指す選手は0 名になった.COVID-19 感染拡大による社会的活動制限時は,心理・社会的サポートも重要だと考えられた.