日本臨床スポーツ医学会誌
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当院の膝前十字靱帯損傷症例における受傷状況の調査
井上 夏香佐藤 正裕山口 徹間瀬 泰克
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2023 年 31 巻 2 号 p. 334-341

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抄録

本研究は,当院のACL 損傷者を22 歳以下(グループI),23 歳~39 歳(グループII),40 歳以上(グループIII)の年代にグループ分けし,年代かつ性別におけるACL 受傷状況を調査し,どのような特徴があるかを明らかにすることを目的とした.2017 年1 月~2020 年9 月にACL 再建術を施行した479 名のうち364 名(男性173 名,女性191 名)を対象とした.調査項目は,患者属性,活動レベル,受傷スポーツ,受傷機転,受傷場面とし,グループ間の同性およびグループ内の性別における患者属性と調査項目を比較検討した.ACL 受傷時の活動レベル,受傷機転,受傷場面の割合の差は,χ2 検定を用い,有意水準は5%未満とした.年代が低いと競技レベルの割合が高く,年代が高いほどレクリエーションレベルの割合が高かった.受傷スポーツは年代が低いとサッカー,バスケットボール,ハンドボールの割合が高く,すべてのグループにおいて男性はサッカー,女性はバレーボール,グループIII では男女ともスキーの割合が高かった.受傷機転は,すべてのグループにおいて男性より女性のほうが非接触型損傷の割合が高く,年代が高くなるほど非接触型損傷の割合が高かった.受傷場面は,年代が高くなるほど試合以外での受傷割合が高かった.本研究結果は,先行研究で報告されているACL 受傷状況と同様であり,ACL 損傷は地域,施設特性に影響せず発生すると考えられる.

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© 2023 一般社団法人日本臨床スポーツ医学会
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