日本臨床スポーツ医学会誌
Online ISSN : 2758-3767
Print ISSN : 1346-4159
足底振動刺激が慢性足関節不安定症を有する女性アスリートの足関節位置覚および足底表在感覚に与える即時効果
若宮 知輝奥貫 拓実山口 龍星前道 俊宏劉 紫剣小川 祐来鮎川 五朗永元 英明干場 拓真熊井 司
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2024 年 32 巻 1 号 p. 64-71

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抄録

慢性足関節不安定症(CAI)では,足関節の関節位置覚や足底表在感覚の低下といった固有受容感覚の低下が報告されている.これらの固有受容感覚の低下に対して,足底振動刺激の有効性が期待されているものの,その効果は不明な点が多い.そこで本研究では,健常アスリートおよびCAI を有するアスリートに対する,足底振動刺激が足関節関節位置覚および足底表在感覚に与える即時効果を明らかにすることを目的とした.対象は健常群8 名,CAI 群8 名とし,介入前後での関節位置覚および足底表在感覚を測定した.介入は足底振動刺激実施条件または安静条件とし,crossover 試験を行った.関節位置覚は底屈,内がえしの2 方向を測定し,足底表在感覚は第1 中足骨頭,第5 中足骨底,踵部の3 項目を測定した.関節位置覚,足底表在感覚ともに健常群とCAI 群の間に有意な差を認めなかった.また条件に関わらず両群とも介入前後において有意な変化を認めなかった.健常群とCAI 群に差を認めなかった要因の一つとして,CAI 群におけるFAAM スコアが高かったことが考えられる.また健常群とCAI 群ともに振動刺激後に関節位置覚と足底表在感覚に変化を認めなかった.振動刺激の周波数や振幅が,先行研究より小さかったことや,CAI 群の関節位置覚や足底表在感覚が健常群と同程度であったことが要因として考えられる.今後,介入条件や異なる対象への介入を検証する必要がある.

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© 2024 一般社団法人日本臨床スポーツ医学会
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