日本臨床スポーツ医学会誌
Online ISSN : 2758-3767
Print ISSN : 1346-4159
最新号
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  • 赤間 高雄, 青木 隆明, 奥脇 透, 片寄 正樹, 金岡 恒治, 久野 譜也, 近藤 尚知, 高澤 祐治, 羽田 康司, 藤原 清香, 松 ...
    原稿種別: その他
    2024 年 32 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー
  • 赤間 高雄
    原稿種別: その他
    2024 年 32 巻 1 号 p. 2-15
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー
  • 山澤 文裕, 近藤 尚知, 柳下 和慶, 片寄 正樹, 奥脇 透
    原稿種別: その他
    2024 年 32 巻 1 号 p. 16-20
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー
  • 山澤 文裕
    原稿種別: その他
    2024 年 32 巻 1 号 p. 21-28
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー
  • 永元 英明, 奥貫 拓実, 若宮 知輝, 山口 龍星, 劉 紫剣, 前道 俊宏, 勝谷 洋文, 田中 博史, 熊井 司
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    足関節捻挫の治療やその再発予防のために使用されている薄型足関節捻挫用サポーターは足関節の底背屈可動域を制限する可能性がある.また,運動によりその制限は更に低下する可能性があるが,現時点ではこれらに関しては不明である.本研究の目的は,薄型足関節捻挫用サポーターの装着による足関節底屈および背屈可動域制限の有無および運動による影響の有無を検討することである.対象は,一般成人男性5 名,平均年齢は30.8±5.2 歳である.足関節背屈と底屈の自動および他動可動域を,それぞれ膝関節伸展位と屈曲位で裸足とサポーター装着下で計測した.運動課題は,カーフレイズ,フルスクワット,垂直ジャンプ,ランニングとし,サポーター装着下各運動課題後に同様の可動域を計測した.全ての条件で3 回計測し平均値を算出後,裸足とサポーター装着下,サポーター装着下での運動課題前後の可動域を対応のあるt 検定で統計学的に解析した.その結果,裸足とサポーター装着下では全ての計測項目で有意な変化はなかった.また,各運動課題前後においても全ての計測項目で有意な変化はなかった.本研究の結果,薄型足関節捻挫用サポーターは足関節の底屈および背屈可動域を制限しない可能性がある.

  • 江守 永, 大下 優介, 須山 陽介, 芳賀 秀郷, 三邉 武彦, 藤巻 良昌, 西中 直也, 雨宮 雷太, 三邉 武幸
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    (目的)コロナ禍におけるアイスホッケーの傷害と反則の動向に関する調査を行うことにより,新型コロナウイルス感染症の流行がアイスホッケー競技に与えた影響について検証することを目的とした.

    (方法)2018 年9 月から2023 年3 月までに行われた神奈川県男子アイスホッケー選手権および国体予選会,計734 試合を対象として,シーズン毎の反則の種類と総数および試合中に発生した傷害を調査した.

    (結果)1 試合あたりの平均反則件数は,2018 年度シーズン5.93 件,2019 年度シーズンが5.66 件,2020年度シーズンが4.96 件,2021 年度シーズンが4.40 件,2022 年度シーズンが4.64 件で,コロナ禍で反則は減少傾向がみられたが,スティックを用いた反則の割合は増加がみられた.傷害の報告は2018 年度シーズン(175 試合)が0 件,2019 年度シーズン(191 試合)が0 件,2020 年度シーズン(73 試合)が1 件,2021 年度シーズン(119 試合)が6 件,2022 年度シーズン(176 試合)が2 件と,コロナ禍に傷害が急増した.

    (結論)傷害の発生件数が増加した原因として,緊急事態宣言の発令によるスケートリンクの営業休止のため,氷上トレーニングが不足したことが考えられた.また新型コロナウイルスの接触感染への危惧から,コンタクトプレーによる反則が減少し,スティックを用いた反則が増加した可能性が考えられた.

  • 植田 篤史, 木下 和昭, 新熊 孝文, 韓 昌勲
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,上腕骨内側上顆下端部に異常所見を有する無症状の小学生野球選手のジャンプ距離と体格の特徴を明らかにすることである.対象は小学生野球選手85 名とした.評価項目は年齢,身長,体重,除脂肪体重,骨格筋量,ローレル指数,両脚前方ジャンプ,両側の片脚前方および側方ジャンプとし,ジャンプの測定値は身長で正規化した.また,肘関節の病変評価として肘内側部の超音波エコー検査を実施した.肘内側部の圧痛かつ肘痛がなく分離を認めた場合を異常群,肘痛も病変も認めない場合を健常群とした.統計学的解析は,2 群間の比較を対応のないt 検定を用いた.超音波エコー検査の結果,異常群は15 名,健常群は62 名であった.両側の片脚側方ジャンプ距離(身長で正規化)について,異常群は,健常群に比較して,有意に小さかった.異常群の年齢と体格は健常群と比較して,有意に大きかった.本研究結果において,上腕骨内側上顆下端部に異常所見を有する無症状の小学生野球選手は年齢と体格が高値であった一方,両側の片脚側方ジャンプ距離が低値であった.

  • 清永 康平, 南 達也, 松田 貴雄
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 46-56
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    (目的)男子のスポーツ障害では骨端線障害は身長が急激に増加する時期に多いとされ,成長フェーズ(phase)を用いて好発時期を分類している.一方,疲労骨折はphase との関連はわかっていない.男女のスポーツ障害の発生状況を体格・体組成測定の結果から検討した.

    (方法)9 歳から18 歳の週5 日以上スポーツ活動を行う男子151 名,女子123 名の274 名を対象に成長記録からphase を同定し,体格・体組成測定を行った.生じたスポーツ障害306 例(男子166 例,女子140 例)の発生状況を検討した.

    (結果)スポーツ障害は男子ではphase II で最も多く生じ,女子ではphase III とIV が大半を占めた.骨端線障害は男子でphase II が26 名と最も多く,発症者では身長,除脂肪体重が有意に低かった.女子では全体で8 名と発症は少なく,男女ともphase IV での発症はなかった.一方,疲労骨折は男女ともにphase III が20 名,18 名と最も多く,女子ではphase I での発症はなかった.

    (考察)骨端線障害は運動量が増加する小学校高学年が男子では成長ピーク前にあたるため多く見られるが,女子では成長ピーク後にあたることが少ない理由と考えられた.また疲労骨折は女子ではBMIが低いことがリスクと考えられていたが,発症者の体格に劣った点はなかった.男子では骨格筋の増加が発症に寄与する可能性が示唆された.

    目的

  • 島本 大輔, 上池 浩一, 大西 慎太郎, 諸岡 孝俊, 吉矢 晋一
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    (目的)Single leg hop for distance(SHD)はスポーツ外傷後の機能回復指標として用いられているが,認知神経学的な検討はなされていない.そこで,本研究の目的を自己評価によるSHD の見積もり値とパフォ―マンスの指標となる着地可否との関係を明らかにすることとした.(方法)健常成人63 名(男性35 名,女性28 名,年齢28.8±5.8 歳)を対象とした.SHD の実跳前に安定した着地が可能と被験者が想定する最大距離(見積もり値(%)=見積もり距離/身長)を測定した.その後に実跳を行わせ,着地の可否によって2 群に分類した.統計学的分析は,2 群間比較にマンホイットニーU 検定,着地可否の関連要因の抽出にロジスティック回帰分析,カットオフ値算出にROC 解析を用い,有意水準は5% とした.

    (結果)着地不可群は,着地可能群と比較して見積もり値が有意に大きかった(74.4±16.8 vs 102.8±19.0,p<0.05).着地可否の関連要因として見積もり値が抽出され(オッズ比1.09,95% 信頼区間1.04-1.14,p<0.05),カットオフ値は87.1%(特異度0.77,感度0.90,曲線下面積:0.86,95% 信頼区間:0.77-0.96)となった.(考察)見積もり値は着地に影響し,見積もり値が身長比87.1% 以上となると,実際の動作との乖離が生じることが示唆された.

  • 若宮 知輝, 奥貫 拓実, 山口 龍星, 前道 俊宏, 劉 紫剣, 小川 祐来, 鮎川 五朗, 永元 英明, 干場 拓真, 熊井 司
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 64-71
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    慢性足関節不安定症(CAI)では,足関節の関節位置覚や足底表在感覚の低下といった固有受容感覚の低下が報告されている.これらの固有受容感覚の低下に対して,足底振動刺激の有効性が期待されているものの,その効果は不明な点が多い.そこで本研究では,健常アスリートおよびCAI を有するアスリートに対する,足底振動刺激が足関節関節位置覚および足底表在感覚に与える即時効果を明らかにすることを目的とした.対象は健常群8 名,CAI 群8 名とし,介入前後での関節位置覚および足底表在感覚を測定した.介入は足底振動刺激実施条件または安静条件とし,crossover 試験を行った.関節位置覚は底屈,内がえしの2 方向を測定し,足底表在感覚は第1 中足骨頭,第5 中足骨底,踵部の3 項目を測定した.関節位置覚,足底表在感覚ともに健常群とCAI 群の間に有意な差を認めなかった.また条件に関わらず両群とも介入前後において有意な変化を認めなかった.健常群とCAI 群に差を認めなかった要因の一つとして,CAI 群におけるFAAM スコアが高かったことが考えられる.また健常群とCAI 群ともに振動刺激後に関節位置覚と足底表在感覚に変化を認めなかった.振動刺激の周波数や振幅が,先行研究より小さかったことや,CAI 群の関節位置覚や足底表在感覚が健常群と同程度であったことが要因として考えられる.今後,介入条件や異なる対象への介入を検証する必要がある.

  • 村木 孝行, 高橋 晋平, 阿部 允哉, 山田 祥康, 永元 英明, 黒川 大介
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 72-77
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    疼痛を誘発する理学検査は投球障害肩の投球開始および投球強度変更の基準となりうる.本研究の目的は,我々が考案したRelease push test(RPT)の投球時痛を有する症例における陽性率と,投球動作のどの位相の疼痛と関連があるかを調べ,他の理学検査と比較することである.投球時に肩関節痛を有する野球選手55 名(平均18±2 歳)を対象とした.RPT では,選手が端坐位でボールリリースの位置に手を挙げたところから検者の手を投球方向に押し,肩関節痛が生じた場合を陽性とした.それ以外にはFull can test,Empty can test,Hyper external rotation test(HERT),Neer impingement sign,Hawkins impingement sign,OʼBrien test を用いた.RPT が陽性となったのは55 例中28 例(51%)であり,全検査の中で最も陽性率が高かった.RPT のみ陽性は10 例で最も多く,HERT のみの陽性も10 例と同等であった.また,HERT 陽性の選手はコッキング期の肩関節痛が多いのに対し,RPT 陽性の選手はコッキング期以降での肩関節痛が有意に多かった(P=0.009).RPT は投球障害肩症例で陽性率が高く,他の検査では捉えられない疼痛を検出できるため,投球開始や強度変更を判断するための理学検査として有用となる可能性がある.

  • 氷見 量, 石川 徹也, 杉山 貴哉, 三宅 秀俊, 渡辺 知真
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 78-84
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    2015 年3 月から2022 年3 月までに当院を受診し,MRI にて新鮮腰椎分離症と診断された小学生51 例を対象とした.検討①では低学年群10 例・13 関節突起間部,高学年群41 例・53 関節突起間部を対象とし,発症時の特徴(性別,罹患椎体のSpina bifida occulta:SBO 保有の有無,椎体高位,片側か両側か,対側陳旧性分離の有無,病期)を両群間で比較した.検討②では骨癒合の可否まで確認できた34例で,低学年群6 例・9 関節突起間部,高学年群28 例・37 関節突起間部を対象とした.両群の骨癒合率の比較と,小学生全体において骨癒合に影響を与える因子の検討を行った.統計処理は検討①と検討②の骨癒合率の比較にχ2 検定とFisherʼs の正確確率検定を用い,骨癒合に影響を与える因子の検討に多重ロジスティック回帰分析を行い,有意水準は5%とした.

    検討①ではSBO 保有例,両側例,対側陳旧性分離保有例,進行期例の割合が高学年群と比較して低学年で有意に高かった(それぞれp<0.01,p<0.05,p<0.05,p<0.01).検討②では骨癒合率は高学年群より低学年群で有意に低かった(p<0.05).小学生全体では多変量解析による骨癒合の有無に影響を与える因子として病期(初期か進行期か)が抽出された.

  • 三宅 秀俊, 石川 徹也, 杉山 貴哉, 氷見 量, 渡辺 知真
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    (目的)ハムストリング肉離れのスポーツ復帰までの期間と復帰時の筋力,柔軟性について損傷型別に比較検討すること.

    (方法)対象は2019 年10 月から2022 年3 月までに当院にてMRI でハムストリング肉離れと診断し,リハビリテーションを行いスポーツ復帰まで経過観察できた33 例である.JISS 分類にて筋線維型(I 型)と腱膜型(II 型)に分け,受診からスポーツ開始までの期間(スポーツ開始期間),受診からスポーツ復帰までの期間(スポーツ復帰期間),スポーツ開始時の等速性膝屈曲筋力(180̊/秒,60̊/秒),Straight Leg Rising(SLR),Active Knee Extension Test(AKET)を評価した.統計解析は,復帰期間,筋力,柔軟性項目をMann-Whitney のU 検定,Welch のT 検定を用い,有意水準は5%とした.

    (結果)スポーツ開始期間,スポーツ復帰期間ともにI 型がII 型と比較し有意に短かった(p<0.05,p <0.01).スポーツ開始時の等速性膝屈曲筋力の患健比は180̊/秒,60̊/秒ともに両群間に有意差を認めなかった.SLR の健患差,AKET の健患差は両群間に有意差を認めなかった.

    (結語)ハムストリング肉離れからのスポーツ復帰時において,復帰期間は損傷型により異なり,筋力・柔軟性は損傷型に関係なく改善していた.

  • 三宅 秀俊, 石川 徹也, 杉山 貴哉, 氷見 量, 渡辺 知真
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 91-97
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    (目的)新鮮腰椎分離症における多椎体発症例の特徴を単椎体症例と比較して検討した.(方法)対象は2015 年3 月から2022 年3 月までに新鮮腰椎分離症と診断された530 例である.多椎体発症例(多椎体群)と単椎体発症例(単椎体群)に分け,2 群間で比較検討した.調査項目は年齢,性別,疼痛自覚から受診までの期間(罹患期間),疼痛自覚からMRI・CT 検査までの期間(検査期間),スポーツ種目,罹患側,椎体高位,病期,骨癒合率とした.単椎体群と多椎体群にて比較検討した(.結果)多椎体群は44 例(8.5%)で,単椎体群は486 例(91.5%)であった.年齢は多椎体群が有意に高かった(p<0.01).性別,罹患期間,検査期間は両群間に有意差を認めなかった.スポーツ種目では陸上競技が多椎体群4.9%と最も少なかったが,そのうち跳躍種目では多椎体群の割合が高かった.骨癒合を図った症例は478 例で,骨癒合率は多椎体群84.5%,単椎体群86.8%であった.左右の分離部の組み合わせとスポーツ種目との関係についてサッカーは両側例が多く,野球は片側例が多かった(.結語)多椎体群は8.5%で,単椎体群と比較し年齢が高かった.多椎体発症は骨癒合阻害因子ではなかった.

  • トラルバラフランキマウリセエドゥアルド , 藤田 英二, 廣津 匡隆
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 98-105
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    本研究では圧バイオフィードバック装置(PBU)を用いた腰椎分節的安定性の定量的な評価法について検討した.対象は腰痛の既往がない成人男性10 名とした.課題とした動作は背臥位にて腰部の下にPBU を置き,右下肢の挙上・下降を10 回行わせた.この課題動作を腹横筋の収縮を伴わない「コントロール条件」と,ドローイング(ADIM)で腹横筋の収縮をさせる「ADIM 条件」の2 条件で行わせた.腰椎分節的安定性の指標として,その際のPBU 圧変化の変動係数(CV 値)を求めた.また,表面筋電図(EMG)による腹横筋―内腹斜筋(TrA-OI)の筋活動水準(%EMGmax)を取得した.その結果,ADIM条件では課題動作中のPBU 圧変化のCV 値は,コントロール条件よりも有意に小さかった.課題動作中におけるTrA-OI の筋活動水準はADIM 条件で有意に高く,約30%EMGmax であった.以上の結果から,本研究で用いた手法は腰椎分節的安定性の定量的評価法になり得ると考えられた.また,腰椎分節的安定性は腹横筋の過度な収縮は必要ではなく,比較的低い努力度での収縮維持で得られると考えられた.

  • 海野 絵里香, 阿蘇 卓也, 田村 将希, 野口 悠, 松永 勇紀, 池田 崇, 三邉 武幸, 西中 直也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 106-112
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    クラシックバレエ(以下,バレエ)では過剰な体幹後屈動作を要することから伸展型腰痛が多い.伸展型腰痛の要因には腰椎前弯角および仙骨傾斜角の増大があるが,バレエダンサーの体幹後屈時の腰部運動については不明な点が多い.バレエダンサーの腰椎および仙骨運動の特性を把握できれば,バレエにおける腰部障害の要因を明らかにできる可能性がある.そこで本研究の目的はバレエダンサーの体幹後屈時における腰椎前弯角および仙骨傾斜角を検討することとした.対象は健常女性バレエダンサー13名(以下,バレエ群)とバレエ未経験女性15 名とした(以下,未経験群).静止立位と体幹最大後屈位における腰椎前弯角および仙骨傾斜角を単純X 線腰椎側面画像から測定した.さらに,静止立位と体幹最大後屈位における差(腰椎前弯角変化量,仙骨角変化量)を算出し,2 群間で比較を行った.バレエ群の腰椎前弯角は静止立位で低値である一方,体幹最大後屈位では差はなかった.また,腰椎前弯角変化量はバレエ群で高値を示した.仙骨傾斜角は静止立位および体幹最大後屈位の両姿位では2 群間に差はなかったが,仙骨傾斜角変化量はバレエ群で低値を示した.つまり,バレエダンサーは体幹後屈時に仙骨運動が少ない中で腰椎を伸展させていると考えられる.以上より,静止立位から体幹最大後屈位かけての腰椎前弯の変化量が大きいことはバレエダンサーの腰椎および仙骨運動の特徴である可能性がある.

  • 橋本 留緒, 松井 知之, 東 善一, 平本 真知子, 宮崎 哲哉, 山本 ちさと, 山﨑 勢那, 松澤 寛大, 瀬尾 和弥, 来田 宣幸, ...
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 113-119
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    投球動作におけるステップ脚の機能は,軸脚によって得られた身体重心の移動を支えることで ある.しかし,女子野球選手の投球動作について下肢に着目した研究は見当たらない.本研究の目的は女子野球選手の投球動作におけるステップ脚の関節角度と球速の関係を明らかにすることとした.女子プロ野球選手の投球動作を三次元動作解析装置で計測した.関節角度の計算として,ステップ脚接地(以下FC)からフォロースルーまでのステップ脚股関節屈曲伸展,股関節内転外転,膝関節屈曲伸展,足関節底屈背屈角度を算出した.またスピードガンを用いて球速を計測した.各関節角度の規格化時間1% ごとの関節角度と,FC から最大値までの変化量について,球速との関係を検討した.

    股関節屈曲角度は解析区間の0~52%,58~100%で有意な正の相関があり,股関節内転角度と球速は,解析区間の75~100%において有意な正の相関があった.膝関節屈曲変化量と負の相関があった.足関節底屈角度は解析区間の14~49%の区間で球速と正の相関があった.球速の速い男子選手では,FC 以降にステップ脚の膝関節屈曲角度を保持する.球速の速い女子選手ではFC 以降に足関節を底屈位で保持し,下腿前傾を抑えることで膝関節屈曲変化量を減少させていた.

  • 氷見 量, 石川 徹也, 杉山 貴哉, 三宅 秀俊, 渡辺 知真
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 120-127
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    (目的)新鮮腰椎分離症患者において,身体後方要素の柔軟性評価テストであるPosterior Lumbar Flexibility test(PLF)を実施し,腰部の柔軟性評価としてのPLF の有用性を評価すること.

    (方法)2019 年9 月から2022 年3 月までにMRI にて新鮮腰椎分離症と診断され,初回時と2 か月時に柔軟性評価を確認できた131 例を対象とした.PLF の初回時と2 か月時の陽性率を評価し,身体後方要素(腰部,ハムストリング)の評価テストであるFinger Floor Distance(FFD),Straight Leg Raisin(gSLR)の陽性率を評価し,その改善率を比較した.

    (結果)初回時の陽性率は,PLF は69%,FFD は52%,SLR は67%であった.また,全評価テストの陽性率は初回時と比較し2 か月時で有意に低下していた(p<0.01).改善率はFFD,SLR と比較しPLF が有意に高かった(p<0.01).

    (考察)PLF が陽性になる要因として,腰椎椎間関節の拘縮や多裂筋の短縮による伸張性の低下が考えられる.2 か月時の改善率はPLF で有意に高く,ハムストリングと比較して腰部はリハビリテーションにより柔軟性が改善しやすい部位と考えられた.

    (結語)PLF は腰部単独の柔軟性を評価でき,新鮮腰椎分離症患者における陽性率はSLR と同程度に高かった.またリハビリテーションによる改善率も高く,介入による効果を評価しやすいと考える.そのため,腰椎分離症に対して実施する柔軟性評価テストとして有用性が高いと考えられた.

  • 伊計 拓真, 坂槙 航, 筒井 俊春, 鳥居 俊
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 128-134
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    (目的)

    中学野球選手おける四肢の可動性と筋タイトネスが1 年後の投球障害肩発症に及ぼす影響を明らかにすること.

    (方法)

    対象は中学硬式野球選手とした.投球障害肩は投球時肩関節痛がある場合または整形外科医の診察にて肩関節に異常所見を認めた場合とした.調査項目は基本情報,四肢可動性,筋タイトネスとした.ベースライン測定から1 年後に投球障害肩の有無を確認し発症群,非発症群に群別した.各調査項目の群間比較には,対応のないt 検定またはMann-Whitney のU 検定を用いた.その後群間比較でp<0.25 の変数を説明変数とするロジスティック回帰分析にて,発症に関連する危険因子を検討した.

    (結果)

    解析対象47 名中14 名が発症群に該当した.身長,体重,肩関節・股関節・足関節可動性は2 群間で有意差を認めなかった.対応のないt 検定またはMann-Whitney のU 検定の結果,非投球側下肢HBD は発症群が非発症群よりも有意に高値であった(p=0.007).ロジスティック回帰分析の結果,非投球側下肢HBD 高値が発症に関連する危険因子として抽出された(オッズ比:1.201,95%CI:1.058-1.374).

    (考察)

    発症の危険因子に非投球側下肢HBD 高値が抽出された.投球には下肢,体幹,上肢を連動させる全身運動が必要であり,潜在的な大腿直筋タイトネスは重心移動を妨げ,肩関節へのストレス増加を招く危険性がある.

  • 豊島 康直, 赤木 龍一郎, 鍋島 和夫
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 135-142
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    (目的)関東大学サッカー1 部リーグに所属するチームにおける2021 シーズンの外傷・障害発生状況について解析した.(対象)2021 シーズンのトップチームに在籍した選手44 名とした.(方法)選手ごとの活動時間と1 回以上の練習/試合から離脱を要した外傷・障害の発生件数を記録し,練習/試合における活動時間あたりの発生率を算出した.加えて,受傷部位,受傷タイプ,発生要因,重症度を年間と月別で調査した.(結果)年間の活動総計時間は13,543 時間であり,発生件数は40 件,発生率は2.3/1,000hours であった.発生率の月別推移では2 月が6.4/1,000hours で最多であり,試合中の発生率は6 月が41.3/1,000hours で最多だった.月別推移として2 月,6 月,9-10 月に発生件数および発生率が高値であり,その前月の活動総計時間が少なかった.受傷タイプは捻挫/靭帯損傷の発生件数が最も多く,筋損傷の発生件数は少なかった.(考察)発生率は諸外国のトップリーグと比較して,年間で低い傾向がみられた.一方,月別の発生率において活動総計時間の少ない状況からの活動時間の上昇は発生率を高める可能性が示唆された.受傷タイプは捻挫/靭帯損傷が先行研究と同様であったが,肉離れを含む筋損傷の発生件数は少なかった.受傷タイプはCOVID-19 の影響を受けていないものと推測された.

  • 清永 康平, 松田 貴雄, 南 達也
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 32 巻 1 号 p. 143-153
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    (緒言)男子では身長増加に伴う循環血液量の増加に伴い,希釈性貧血が生じ,女子では月経による失血にて貧血が生じると考えられてきた.これまで内分泌的成熟による影響を考慮されたものがなく,スポーツを行う児童・生徒についてphase 毎に貧血に関わる鉄欠乏の状態を観察した.

    (方法)9 歳から17 歳のスポーツ活動を行う男子209 名,女子140 名の計349 名を対象に,成長記録から最大年間成長率を同定してphase に区分し,血液測定結果を比較した.

    (結果)男子ではphase 毎に血色素量,総テストステロンが増加したが,phaseII でフェリチンの低下が有意であった(p<0.01).女子ではphase IV でクレアチニンの有意な増加が見られた.

    (考察)男子と女子の初経前では最大年間成長率を示す前のphaseII では血色素量は増加して希釈性貧血は見られなかった.男子のphaseII で生じたのはフェリチンの低下による鉄欠乏であった.男子では総テストステロンの増加による造血作用のため,血色素量が低下しないと考えられた.女子では常に鉄欠乏で,身長の伸びが1cm/y 未満のphaseIV でフェリチンの低下は骨格筋の増加が関与すると考えられた.

  • 杉山 貴哉, 石川 徹也, 三宅 秀俊, 氷見 量
    原稿種別: 症例報告
    2024 年 32 巻 1 号 p. 154-160
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    Greater trochanteric pain syndrome のサッカー選手2 例を経験した.症例1 は右脚のキック動作を契機とした左軸脚の非外傷性による発症であり,症例2 はセービング時の左大転子部の打撲を契機としたが,右脚のロングキックにて左軸脚の疼痛が増悪しており,外傷性と非外傷性による発症であった.身体所見では2 例とも大転子部圧痛,股関節外転抵抗時痛,股関節内旋可動域制限,体幹筋力低下,Ober test 陽性が認められ,症例2 のみ中殿筋と股関節外旋筋の筋力低下が認められた.MRI STIR 画像では小殿筋腱や中殿筋腱内の高信号は認められず,大転子滑液包に高信号が認められた.本症例はキック動作の軸脚にて中殿筋や体幹の筋力低下により軸脚の骨盤が側方偏位し,腸脛靭帯は伸張され,その状態で股関節屈曲・伸展,内旋・外旋したことで大転子滑液包が大転子と腸脛靭帯間で摩擦され発症したと考えられた.

  • 後藤 亜由美, 瀬戸 宏明, 鬼頭 英明
    原稿種別: その他
    2024 年 32 巻 1 号 p. 161-168
    発行日: 2024/01/31
    公開日: 2024/05/02
    ジャーナル フリー

    アンチ・ドーピング(以下,AD)の知識を有するスポーツファーマシスト(以下,SP)は,2009 年に認定制度が開始されて以来認定者が増加しているが,競技関係者がSP をどのように認識し,活用しているか明らかではない.本研究では,メディカルスタッフとして競技者のコンディショニングや健康管理に関わるトレーナーを対象として,AD とSP に関する調査をスノーボールサンプリングにより実施した.

    回答者の51.0% がAD に関する活動を行っており,87.8% が競技者の軽度疾病の相談を受けていた.SP 認知度は85.8% であり,医薬品やサプリメントに関する相談等について,SP からのサポートを期待していることが表れた.またSP をスポーツ現場に必要な存在として認識していることが明らかとなった.

    今後,トレーナーにとって使いやすいSP への相談窓口の検討や,SP とのコミュニケーション機会増加のための検討が求められる.

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