日本臨床スポーツ医学会誌
Online ISSN : 2758-3767
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スポーツ選手の腱板筋肉離れの特徴
杉山 貴哉石川 徹也三宅 秀俊氷見 量渡辺 知真
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2024 年 32 巻 3 号 p. 391-399

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抄録

スポーツ選手の腱板筋肉離れの特徴を明らかにすることを目的とした.2015年3月から2022年4月の間にMRIにて腱板筋肉離れと診断されたスポーツ選手36例,損傷筋43件を対象とした.各腱板筋肉離れの件数と損傷部位,外傷の有無,複合損傷の有無,JISS分類,スポーツ種目,受傷動作・損傷誘発動作について診療録を後ろ向きに調査した. 棘下筋肉離れは9件であり,損傷部位は横走線維や斜走線維であった.外傷なしが有意に多かった.全例複合損傷であり,I型1度8件,II型1度1件であった.オーバーヘッド(以下,OH)スポーツに多く,OH動作での受傷が多かった.棘上筋肉離れは18件であり,損傷部位は前方線維,棘上窩側,後方線維であった.外傷や複合損傷の有無では有意差はなく,I型1度14件,I型2度3件,II型1度1件であった.スポーツ種目は野球が多く,投球動作での受傷が多かった.肩甲下筋肉離れは16件であり,損傷部位は上部線維,上部から下部線維,中部から下部線維であった.外傷ありが多い傾向にあるが,有意差はなかった.複合損傷なしが有意に多く,I型1度10件,II型1度6件であった.OHスポーツだけでなく,コンタクトスポーツにも認められ,肩関節外転・外旋強制での受傷が多かった. 各腱板筋肉離れに特徴があり,OHやコンタクトスポーツによる肩のスポーツ障害では腱板筋肉離れも鑑別する必要がある..

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