2025 年 33 巻 1 号 p. 100-107
足底からのelectrical muscle stimulation(EMS)は足部内在筋の収縮を促すことで,バランス機能の改善が期待されるが,即時的な介入効果は明らかでない.そこで本研究は,足底からのEMS介入が片脚立位時のバランスおよび下肢筋活動に及ぼす即時効果を明らかにすることを目的とした.対象はEMS群9名,control群9名に分類し,介入前後での片脚立位時の足底圧中心(COP)と下肢筋活動を測定した.COPから,総軌跡・前後方向・内外側方向の最大偏位速度および軌跡長を算出した.筋活動は母趾外転筋,小趾外転筋,長母趾屈筋,長腓骨筋,ヒラメ筋を測定し,平均筋活動を算出した.Control群1名の筋活動データに不備があったため,筋活動のみ8名のデータを用いた.結果は内外側方向および総軌跡長,ヒラメ筋の筋活動においてEMS群は介入前と比較し介入後に有意に減少していた.EMS介入により,内外側方向および総軌跡長が有意に減少しており,片脚立位のバランス機能の向上が示唆された.EMS介入後に片脚立位の安定性が向上したことで,姿勢保持に関わる下肢の筋への要求が少なくなるため,ヒラメ筋の筋活動が減少したと推察された.足底からのEMS介入は即時的に片脚立位時のバランスとヒラメ筋活動の減少に寄与することが示唆された.