中毒研究
Online ISSN : 2758-2140
Print ISSN : 0914-3777
原著
中学生におけるOTC医薬品の知識の実態と学校薬剤師による孤独・孤立や薬物乱用防止教育の効果
永島 一輝関根 祐子
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2026 年 39 巻 1 号 p. 29-40

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抄録

OTC医薬品のオーバードーズ(過量服薬)や薬物乱用は,若年層で社会的問題となっているが,背景にある孤独・孤立対策の教育例は少ない。本研究では,学校薬剤師の授業による薬物乱用やOTC医薬品および孤独・孤立対策に関する理解の変化を,中学校3年生142名を対象にWeb質問紙法で評価することを目的とした。授業後は,乱用に用いられるものとして覚醒剤,MDMA,有機溶剤(シンナー),麻薬,アルコールが有意に,とくに治療薬でもあるOTC医薬品や向精神薬,痛み止めは30%以上の有意な回答の増加がみられた(p<0.05)。「病院でもらう薬の方が,ドラッグストアで購入できる薬よりも効果が強い」や,「痛み止めの薬は,痛みを取り除く効果だけがある」に対する回答は,授業後に有意にスコアが減少し,理解が深まっていた(p<0.05)。悩み事の相談先では,電話の相談窓口(118人,86.8%),SNSの相談窓口(110人,80.9%),チャットの相談窓口(112人,82.4%)が存在することの知識が授業後に有意に上昇した(p<0.05)。薬の相談相手は,授業後は薬剤師108人(79.4%),医師95人(69.9%),家族83人(61.0%)と回答が変動し,登録販売者は10人(8.4%)から29人(21.3%)と有意に増加した(p<0.05)。OTC医薬品による中毒の発生防止や適切な使用の推進のために,学校薬剤師による孤独・孤立対策や薬物乱用防止教育は有用であると考えられる。

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