中毒研究
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症例報告
遷延する上気道狭窄と嚥下機能低下を起こした陰イオン系界面活性剤中毒の1例
岡崎 友香人見 秀田口 茂正清田 和也
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2026 年 39 巻 1 号 p. 47-52

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抄録

陰イオン系界面活性剤は衣料用洗剤などに多く含まれる。摂取によるアシドーシスや腸管壊死を起こした症例の報告は散見されるが,喉頭浮腫をきたした症例はまれである。症例は44歳男性。自殺目的に家庭用洗剤であるアタックZERO部屋干し(陰イオン系界面活性剤濃度51%)を約25g摂取し咽頭痛,嘔吐,下痢の症状がみられたので,内服3時間後に救急搬送された。来院時に声門上の浮腫を認め,気道確保のために気管挿管を行った。第4病日にも喉頭浮腫が残存していたため気管切開を行った。第7病日,咽頭の知覚低下を認め,嚥下リハビリテーションを開始した。第35病日に気管切開チューブを抜去し第44病日退院となった。高濃度の陰イオン系界面活性剤は少量の摂取でも,喉頭浮腫による上気道狭窄や知覚低下による嚥下障害を生じる可能性があり,気道確保や早期の嚥下リハビリテーションを考慮する必要がある。

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