2026 年 39 巻 3 号 p. 258-263
カフェインおよびジフェンヒドラミン(diphenhydramine;DPH)はover the counter(OTC)薬やエナジードリンクとして広く使用されており,急性大量摂取による中毒や横紋筋融解症の報告は多いが,慢性摂取による筋障害はまれである。今回,カフェインおよびDPHを長期間習慣的に摂取していた20代男性において,明らかな運動誘因を伴わず,横紋筋融解症を呈した症例を経験した。またMRI 検査で筋炎様変化を認め,血中濃度はカフェイン3.75 μg/mL,DPH 0.15 μg/mL といずれも中毒域を下回っていた。支持療法および両成分の中止により全身倦怠感,筋肉痛および筋力低下などの臨床症状と筋酵素は速やかに改善したが,経過中も低値ながら血中濃度の残存を認め,排泄遅延や組織蓄積の関与が示唆された。本症例は,慢性的な曝露かつ運動誘因を伴わずとも血中濃度のみでは評価できない毒性が顕在化し得ることを示し,OTC薬やエナジードリンクの長期摂取歴を確認し,明らかな運動誘因がなくても横紋筋融解症を鑑別にあげる必要がある。