日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
IgG4 が関与した尿管狭窄を伴う炎症性腹部大動脈瘤の1例
野田 征宏藤井 奨新谷 佳子高木 剛山本 信一郎海崎 泰治
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2008 年 37 巻 1 号 p. 48-52

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抄録
症例は54歳,男性.左側腹部痛を訴え近医を受診し,腹部大動脈瘤と診断され当院を受診した.腹部CT検査でマントルサインを伴った瘤形成を認め,炎症性腹部大動脈瘤を疑った.左尿管狭窄を併発していた.術前の血中 IgG4 は高値であった.尿管ステント留置を施行したのち,腹部大動脈瘤切除・人工血管置換術を施行した.手術標本の病理検査で,傍大動脈組織に多数の IgG4 陽性形質細胞の浸潤を認め,IgG4 関連の炎症性腹部大動脈瘤と診断した.術後 IgG4 値は減少したが依然高値であった.新たに右水腎症となり,尿管ステント留置が必要であった.ステロイドの内服で血中 IgG4 は減少し,CT 検査上,マントルサインは縮小した.尿管狭窄を伴うような炎症性腹部大動脈瘤では IgG4 関連硬化性疾患が関与している可能性があり,本症例では血中 IgG4 値が治療判定の良い指標となった.
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