日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
術後心室頻拍に対し長期補助循環が有用であった心筋梗塞後乳頭筋断裂の1例
北林 克清金 啓和渋谷 卓佐藤 尚司
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2008 年 37 巻 2 号 p. 140-143

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抄録
心筋梗塞後の機械的合併症のなかで,乳頭筋断裂は比較的希で予後不良である.今回,心筋梗塞後乳頭筋断裂に対し僧帽弁置換術を施行,術後,呼吸不全,心室頻拍に対し長期補助循環が有用であった症例を経験したので報告する.症例は56歳,男性.ショック状態で来院した.左冠動脈回旋枝(#11)完全閉塞に対し,緊急経皮冠動脈形成術を行った.術後も循環不全が遷延したため,大動脈内バルーンパンピング,経皮人工心肺装置を装着した.経食道心超音波検査で乳頭筋の断裂を認めたため,緊急で僧帽弁置換術を施行した.第3病日に経皮人工心肺装置,第5病日に大動脈内バルーンパンピングを離脱したが,同日より薬剤抵抗性の心室頻拍発作を認めたため,再度大動脈内バルーンパンピングを留置,翌日には再度経皮人工心肺装置を装着した.経皮人工心肺装置により体循環を維持しながら,アミオダロン,カルベジロールを投与することで心室頻拍をコントロールし,第14病日に経皮人工心肺装置,第19病日に大動脈内バルーンパンピングの離脱が可能となった.
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