日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
左室心筋緻密化障害を有する症例に対する右房粘液腫切除術の経験
宮本 和幸河野 博之神尾 明君
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2009 年 38 巻 2 号 p. 103-105

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抄録

左室心筋緻密化障害は左室心筋の緻密化が障害された先天性の心筋症であり,心不全が進行する予後不良の疾患である.今回我々は,左室心筋緻密化障害を有する成人例に生じた右房粘液腫に対して腫瘍切除術を施行したので報告する.症例は69歳女性,労作時の息切れを主訴に入院となり,心エコーで左室緻密化障害を伴う左心機能障害(EF=16%)および右房腫瘍を認めた.保存的に心不全をコントロールした後,心停止下に右房腫瘍切除術を施行した.右房腫瘍の病理組織診断は粘液腫であった.緻密化障害を有する心筋における虚血障害が危惧されたが,工夫した心筋保護を行った結果,術後早期の経過は良好で,術後19日目に退院した.左室心筋緻密化障害の予後を考慮すると,今後も厳重な経過観察が必要である.

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