46歳の男性.20歳時から高血圧を指摘されていた.41歳時,大動脈炎症候群に合併した腹部大動脈縮窄を認めたため右腋窩-両大腿動脈バイパス術を,さらに胸部下行大動脈瘤に対して胸部下行大動脈置換術を施行された.今回,遠位弓部吻合部仮性瘤および胸部の人工血管遠位部の胸腹部大動脈瘤の拡大に対して,閉塞型ステントグラフトを挿入し,瘤内の減圧を図った.大動脈炎症候群の血管病変に対する外科治療としては従来人工血管による置換術や非解剖学的バイパス術が施行されているが,ステントグラフト内挿術は,大動脈炎症候群の様々な血管病変に対して有用と考えられた.