2009 年 38 巻 4 号 p. 276-279
症例は5カ月女児.先天性副腎皮質機能不全にて近医で副腎皮質ホルモン補充療法を行っている.出生時より心雑音を指摘され近医転院,心室中隔欠損症の診断にて薬物療法を行っていた.生後4カ月までに心不全の状態は改善し,生後5カ月の時点で心カテーテル検査を施行した結果,肺体血流比2.9と高値であり,心不全の急性増悪をきたす恐れが強く,哺乳量が増えず体重増加があまり期待できないこと,易感染性であることから,早期に手術すべきと判断され,当院紹介となった.手術は心室中隔欠損症に対するパッチ閉鎖術を行った.周術期の糖質コルチコイド補充量は体表面積から投与ステロイド量を推定し,周術期の血中コルチゾール濃度の経時的変化を参考にしながら投与することで,良好な結果を得ることができた.乳幼児における開心術における糖質コルチコイド補充療法の報告は少なく,体表面積から投与量を推定することで良好な周術期管理を行うことができた.