日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
ステントグラフト治療による孤立性内腸骨動脈瘤破裂の1救命例
八丸 剛渡辺 正純川口 悟中原 秀樹
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2010 年 39 巻 1 号 p. 25-28

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抄録
症例は90歳,男性.下腹部痛と肛門周囲斑状出血を主訴に前医を受診した.Hb 5.7 g/dlの重度貧血と,CTで最大径60×44 mmの左内腸骨動脈瘤の破裂を認めたため,当科へ救急搬送された.搬送後,緊急ステントグラフト内挿術を施行し,救命することができた.手術は,局所麻酔下に左大腿動脈よりアプローチし,左総腸骨動脈から外腸骨動脈にかけてステントグラフトを留置して内腸骨動脈流入部を閉鎖した.術後CTでエンドリークはなく,内腸骨動脈瘤内は血栓化していた.術後は,慢性腎不全の急性増悪のため透析治療を要したが,2カ月後に退院した.内腸骨動脈瘤破裂に対するステントグラフト治療救命例の報告は,検索したかぎり本邦では本症例が初であった.
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