日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術後に発症したコレステロール塞栓症の1例
岡本 雅彦南雲 正士後藤 哲哉吉武 明弘三木 隆久大住 幸司
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2010 年 39 巻 4 号 p. 199-202

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抄録

腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術後に発症したコレステロール塞栓症の1例を経験したので報告する.症例は68歳,男性.最大短径55 mmの腎動脈下腹部大動脈瘤にたいしステントグラフト内挿術を行った.術直後に著しい左下腹部痛が出現した.数時間後,腹痛は軽減したが術後3週目まで続いた.術後10日目にCTにて腎脾臓梗塞が認められた.術後17日目に血中クレアチニン値の上昇が出現した.白血球分画所見で好酸球が12%と高値を示した.術後33日目に腎生検を行い,cholesterol creftを伴う肉芽性炎症変化による細動脈の閉塞所見を認めた.以上より,コレステロール塞栓症と診断し,スタチン系薬剤投与とステロイド療法を開始し,改善を得た.ステントグラフト内挿術においてはコレステロール塞栓症の誘因が多数存在する.その病態を理解し,早期診断,治療にあたることが,本合併症の予後改善に寄与すると思われた.

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