日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
冠動脈バイパス術後に発症した Stanford A 型急性大動脈解離の1例
西村 謙吾宮坂 成人森本 啓介谷口 巌
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2010 年 39 巻 5 号 p. 273-275

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抄録
冠動脈バイパス術(CABG)後に急性大動脈解離を発症する症例は稀であり,文献的報告例も少ない.また再手術では開存している残存グラフトの存在が問題となる.今回CABG後に発症したStanford A型急性大動脈解離の1例を経験したので報告する.症例は68歳,男性.2007年12月に不安定狭心症にて心拍動下CABG3枝(左内胸動脈-左前下行枝,部分遮断鉗子を用いて左橈骨動脈にて大動脈-左回旋枝,右胃大網動脈-後下行枝)を右大腿動脈送血,右心房脱血での経皮的心肺補助法(PCPS)下に施行した.2009年5月突然前胸部痛が出現したため近医より救急搬送された.Stanford A型急性大動脈解離と診断し,右総大腿動脈送血,上下大静脈脱血で人工心肺を開始して低体温・逆行性脳灌流にて上行大動脈置換術を施行した.大動脈前壁に吻合したグラフトを術中いったん離断し,人工血管の側枝に再建した.術後経過は良好で術後22日目に退院した.
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