日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
低心機能 CABG 症例における術中左室心外膜心筋リード植え込み術の有用性の検討
田岡 誠丁 栄市丁 毅文福本 淳佐藤 一樹
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2010 年 39 巻 6 号 p. 285-288

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抄録

2005年1月から2008年7月までに行った待機的CABG 306例中,EF 35%未満の低心機能症例は24例で,そのうち7例(術前EF 22.7±5.4%,NYHA 3.4±0.4)に対して術中に左室心外膜心筋リード(LVリード)を植え込んだ.バイパス吻合後に鈍縁枝領域を展開した.肉眼的梗塞領域を避け,左室心筋の露出した部分にスクリュー固定式のbipolarリードを固定し閾値を測定した(1.1±0.4 V).7例中4例は術後心機能とNYHAが不良で入院中にCRT-Dを植え込み,1例は退院後3カ月目にうっ血性心不全で入院した際に植え込みを行った.CRT-D植え込み時のリードの閾値は1.0±0.1 Vと良好で,手技時間は経静脈的にリードを挿入するのに比べ短時間で可能であり合併症を認めなかった.低心機能症例で術後にCRT-D植え込みが予想される症例に対してLVリードを植え込むことは,安全かつ短時間でCRT-Dを植え込むことができる点で有用であった.しかし予防的措置としてのLVリード留置とならないため適応を十分に吟味して行わなければならないと考える.

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