日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
Peptostreptococcus spp. による大動脈弁位感染性心内膜炎を来した1例
奈良原 裕尾頭 厚村田 升
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2011 年 40 巻 3 号 p. 150-154

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抄録

症例は66歳男性.2009年8月下旬に尿路感染症の診断で近医に約2週間入院していた.10月下旬に経口摂取不能となり当院救急外来受診となった.心エコーで,大動脈弁に10 mm大の疣腫の付着を認め,またこれにより重度の大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症を生じていた.全身状態は不良で敗血症,DICを呈していた.翌日,準緊急的に手術を行った.弁輪部の1/3周および心室中隔側に膿瘍形成を認めた.十分な郭清の後,ウマ心膜パッチにて修復し,大動脈弁置換術+三尖弁輪形成術を施行した.後日,膿瘍からはPeptostreptococcus spp.が検出された.感染性心内膜炎の起炎菌としてPeptostreptococcus spp.の報告例は少ない.術後7カ月余を経過した現在も感染の再燃を認めていない.

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