日本心臓血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1883-4108
Print ISSN : 0285-1474
ISSN-L : 0285-1474
症例報告
馬蹄腎を伴う腹部大動脈瘤に対しハーモニックスカルペルを使用した1例
西村 善幸石井 利治大川 育秀
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 40 巻 3 号 p. 155-158

詳細
抄録

馬蹄腎を伴う腹部大動脈瘤は,動脈瘤の前面を馬蹄腎が覆うため術野展開のための工夫が必要である.今回,我々は馬蹄腎を伴う腹部大動脈瘤に対し,ハーモニックスカルペルを使用した1例を経験したので報告する.症例は80歳,男性.腹部正中切開にてアプローチした.動脈瘤は最大径64 mmで,異所性腎動脈は右に1本,左に2本あった.脂肪組織に覆われたこれらの分枝を,ハーモニックスカルペルで脂肪組織を除去しながら同定した.ストレート型人工血管で人工血管置換術を施行した.中枢吻合部位は,全ての腎動脈の下で吻合できたので,すべての腎動脈を温存することができた.術後,尿流出は良好で腎梗塞や腎機能の悪化をきたすことなく,術後12病日に退院した.

著者関連情報
© 2011 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
前の記事
feedback
Top