日本心臓血管外科学会雑誌
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原著
胸骨裏面の用指挙上による再胸骨正中切開法
山内 昭彦村木 里誌宮木 靖子橘 一俊上原 麻由子田淵 正樹中島 智博柳清 洋佑高木 伸之樋上 哲哉
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2011 年 40 巻 6 号 p. 269-271

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抄録
われわれは再胸骨正中切開を行うさい,胸骨の離断前に剣状突起下より右開胸とし,右胸腔側より「用指的」に胸骨裏面のスペースを確認し挙上することで安全な再胸骨正中切開を行っている.「用指的」再胸骨正中切開の手法,およびその成績について報告する.2007年1月より2010年11月までに行った心臓大血管疾患手術症例における「用指的」再胸骨正中切開施行症例,50例を対象とした.男性23名,女性27名であり,平均年齢は60.6±12.5歳であった.再手術術式の内訳は弁膜症手術が33例(66%),大動脈関連手術が10例(20%),虚血性心疾患手術が5例(10%),その他が2例(4%)であった.胸骨正中切開数は2回目が37例,3回目が8例,4回目が3例,5回が2例であった.再胸骨正中切開時の出血・組織損傷は1例(2%)に認めたが,微小出血によるもので止血可能であり問題なく胸骨正中切開となった.手術死亡は0,病院死亡を1例に認めた.再胸骨正中切開時において,用指的に胸骨裏面を挙上し離断する手法は安全かつ簡便であった.
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