日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
Omnicarbon 弁による僧帽弁置換術後25年目に弁周囲逆流が顕在化し再手術を要した1例
吉田 稔打田 俊司西村 好晴戸口 幸治本田 賢太朗岡村 吉隆
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2013 年 42 巻 3 号 p. 219-222

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抄録
症例は79歳,女性.54歳時にリウマチ性僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症・三尖弁閉鎖不全症に対し,僧帽弁置換術(Omnicarbon(OC)弁31 mm)・三尖弁形成術(Kay & Reed法)が施行された.置換弁に起因した合併症も認めず良好に経過していたが術後25年目に,突然の高LDH血症を伴う貧血と軽度胸水貯留が出現した.経胸壁心臓超音波検査にて経過中に認められていなかった僧帽弁周囲逆流を認め,心不全・溶血性貧血の増悪を認めたため再手術となった.手術では弁周囲組織は全体にわたり肥厚し,前交連の近傍に部分的な組織欠損を認めた.術前診断からも同部位からの弁周囲逆流が考えられ,生体弁による僧帽弁再弁置換術(CEP 25 mm)と三尖弁輪形成術(MC3 28 mm)を施行した.経過良好で,術後28日目に軽快退院した.OC弁の長期成績は非常に良好であり,本症例においても合併症なく25年間経過した.今回,僧帽弁置換術術後25年目に弁の機能不全を伴わない突然顕在化した弁周囲逆流による溶血性貧血をきたし,再手術となった稀な1例を経験したので報告する.
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