2013 年 42 巻 3 号 p. 228-231
上腸間膜動脈以下腹部大動脈閉塞を伴うCrawford I型胸腹部大動脈瘤に対してdebranching TEVARを施行して良好な結果を得た1例を報告する.症例は維持透析中の64歳男性.特発性門脈圧亢進症の既往と腹部慢性大動脈閉塞を伴っており腹腔内,腹壁の静脈の怒張と側副血行路の発達が著明であった.開胸開腹での胸腹部大動脈人工血管置換術は出血を含めリスクが高いと判断し,腹腔動脈,上腸間膜動脈の腹部分枝debranchingを先行させ,それに続くステントグラフト内挿術でのハイブリッド手術を行った.術後はエンドリークや対麻痺など合併症は認めず経過良好であった.開胸開腹のリスクが高い症例には有用なオプションとなりうると考えられた.