食道癌に対し胸骨前胃管再建術および放射線治療施行後19年目の労作性狭心症症例に対しoff-pumpで冠動脈バイパス術を施行し良好な結果を得た.症例は71歳男性.労作時胸痛と呼吸苦を主訴に冠動脈造影検査でLAD#6に90%狭窄とRCA#4PDに完全閉塞を認めた.高度石灰化により経皮的冠動脈形成術は不成功であったため冠動脈バイパス術を施行した.麻酔は気管内挿管にて行った.手術は仰臥位で両側橈骨動脈を採取後に,右半側臥位とし胸骨前再建胃管を避けて左前側方開胸にて行った.左鎖骨下小切開にて左鎖骨下動脈へ橈骨動脈を側端吻合したのち,左前側方開胸創内で橈骨動脈をYグラフト吻合した.それぞれを左前下行枝,右後下行枝に吻合した.術後経過は良好で術5年目に施行した造影検査でも良好なグラフト血流が確認された.